強い特許持つ企業は
100分野でみる競争力

 企業が勝負する土俵やマーケットは著しく変化している。商品やサービスの競争力を支えるのが、企業が有形無形で持つ特許だ。ただ特許は各社の技術力や独自性を映す半面、休眠状態のものも多く、出願や保有の数だけが真の実力とは限らない。そこで競合がどれだけ注目しているかを「特許の強さ」として数値化。100の分野でビジュアルに比較できるようにした。企業がどんな分野で強みを持つのか、日本の隠れた「特許力」を探ってみよう。

特許の強さ

「特許の強さ」とは?
スクロール

最も強いのは
樹脂製品」

 日本の上場企業が持つ特許の強さを合算して分野別に順位付けすると、最も特許力が強いのは「樹脂製品」。ほかにも上位には「複写機」「半導体製造装置」など、ものづくりを代表する技術が並ぶ。
全体を見渡すと「食品」「ソフトドリンク」、「二次電池」「太陽電池」、「バイオ」「医療補助装置」、「無線通信」、「テレビゲーム」など奥行きがある。今後の成長を支えるキーワードともいえそうだ。

ロボット、
日本電産がトップ

 日本経済新聞朝刊で連載した「新・産業創世記」の 第4部「『土俵』が変わる」で取り上げた分野についてはどうか。人工知能(AI)やドローンなどの新技術を支える「ロボット」の特許の強さは、日本電産が2位の安川電機以下を大きく引き離しトップだった。 ヤマハ発動機やトヨタ自動車など関連技術に力を入れる自動車、二輪車メーカーに加え、三菱ケミカルホールディングスなど素材メーカーも顔を出している。

ロボット 上位5社のYK値

企業名YK値(強さ)
日本電産1699.52
安川電機252.92
パナソニック135.06
三菱電機116.91
横河電機103.11

燃料電池、
JXがトヨタ上回る

 燃料電池」の特許の強さでトヨタやパナソニックを上回り、トップに立つのがJXホールディングス。水素供給ステーションを開業しており、こうしたインフラを含めた技術力ではグローバル競争でも優位になる。トヨタは期限付きだが、燃料電池車(FCV)の関連特許を無償提供する。産業用ホースを扱うタイガースポリマーという実力企業が上位に入っているのも目を引く。

燃料電池 上位5社のYK値

企業名YK値(強さ)
JXホールディングス712.28
パナソニック554.08
トヨタ自動車432.74
日新製鋼277.62
ホンダ256.65

照明、
パナソニックの開発力光る

 照明」の特許の強さではパナソニックや東芝、ウシオ電機のほか、帝人や三菱ケミカルHDといった素材メーカーが上位に並ぶ。デザイン志向の商品開発を進めるパナソニックは「照明」のほか、「光デバイス」「電池共通」「半導体」「フラットパネル」でもトップに立ち、強さが目立つ。

照明 上位5社のYK値

企業名YK値(強さ)
パナソニック1070.98
東芝847.41
ウシオ電機642.26
シャープ360.87
帝人228.1

意外な分野で…
成長占う隠れた特許

 上位に意外な異業種企業が登場する分野もある。例えば「バイオ」。食品や化学を抑えて三菱商事がトップに立つほか、臨床検査薬の栄研化学、東洋紡と並ぶ。こうした特許は新たな技術やサービスで成長を支える源泉になる可能性がある。「工作機械」や「マッサージ機」でも、有名企業の知られざる横顔が見えてくる。

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取材・制作
森園泰寛、清水正行、安田翔平
出典
工藤一郎国際特許事務所

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