空や海から見た
復興のいま

360度映像で見る
東日本大震災10年

津波が沿岸部に大きな被害をもたらした東日本大震災から10年。視界を遮る防潮堤、海に沈んだままの巨大ブロックに集まる生き物、魚市場に響く威勢のいい掛け声。周囲360度をとらえた映像で、復興が進む海沿いの被災地のいまを伝えます。

21年1月
宮城県石巻市

防潮堤が囲う港町
海は壁の向こう

海を望む景観か、命を守る防災機能か――。防潮堤建設に揺れた宮城県石巻市雄勝町地区では、震災から10年たった今も高さ約10メートルの防潮堤建設が進む。巨大な壁と山に囲まれた道路からは海が見えない。高台には2020年にオープンした復興商業施設が並び、リアス式海岸の美しい雄勝湾を望める。漁業と硯(すずり)の生産で栄えた町は、震災前に4300人だった人口が1000人ほどまでに減った。変化する町の様子をドローンで撮影した。

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高さ約10メートルの防潮堤で囲まれた町をドローンで撮影(1月、宮城県石巻市)

20年12月
岩手県大船渡市の浪板漁港沖

海中の震災遺構
生物のすみかに

岩手県大船渡市の越喜来(おきらい)湾内には、震災で破壊され海底に沈んだままの防波堤がある。海底約15メートルに残った巨大なブロックの内部にはホヤが群生し、周囲には小魚がすみつき数多くのウニの姿もある。産卵時期には卵を守るアイナメの様子を観察できるという。津波によってできた海中の震災遺構は、震災の爪痕と生き物の力強さを見て学べる場だった。

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海中にスキューバダイビングで潜り、津波の爪痕を間近に見る(20年12月、岩手県大船渡市の越喜来湾)

20年12月
宮城県気仙沼市

気仙沼魚市場
水揚げの活気再び

宮城県気仙沼市の気仙沼魚市場は2019年2月、津波に流された荷さばき所など2棟を新設した。鳥などが侵入できない完全閉鎖型にし、施設内は空気を汚さない電動フォークリフトを導入するなど高度衛生管理に対応する。過去5年の平均水揚げ量はおよそ7万5000トンで震災前年の約10万トンに迫る。メカジキの水揚げシェアは日本一だ。午前1時、気仙沼漁港でメカジキの水揚げが始まった。

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宙を舞う巨体
メカジキの水揚げ

「よいしょー!」の掛け声とともに、100kg前後もあるメカジキをクレーンでつり上げ、ベルトコンベヤーに載せる(20年12月、宮城県気仙沼市)

電動フォークリフトで
新市場を走る

ベルトコンベヤーから電動フォークリフトにメカジキを載せ替え、洗い場へと運ぶ(20年12月、宮城県気仙沼市)

21年2月
岩手県陸前高田市

3人救った道の駅
津波を語り継ぐ

東日本大震災から10年を迎えた今春、岩手県陸前高田市は震災遺構「タピック45(旧・道の駅高田松原)」の一般公開を始める。公開を前に、津波の爪痕が生々しく残る建物内部を同市の語り部・釘子明さんに案内してもらった。屋上では3人が津波から逃げのびたという。「自分たちが避難する避難所に行ったことがありますか。そこは安全ですか。どんな備蓄や設備があるか知っていますか」。釘子さんが講演や語り部の活動で参加者に必ず問いかける質問だ。

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14.5メートルの津波に襲われた建物の内外を語り部とともに巡る(2月、岩手県陸前高田市)

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