共同
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7月19日に第169回芥川賞・直木賞が発表されました。今回の芥川賞候補作はデジタル空間や格差社会を投影する作品が多く、直木賞候補は歴史時代小説、ミステリー、ホラーと多様なエンタメ小説がそろっています。何から読もうか迷ってしまう、そんな方はぜひ日経ビジュアルデータ「あなたへの一冊」をお試しください。質問に回答するとおすすめの作品が選び出されます。また、気になるキーワードからご自身で候補作を選び出す「直感で選ぶ」も用意しました。
芥川賞
- 「文学界」5月号(単行本発売済み)
ハンチバック
先天性の難病で重度障害者の女性・釈華は両親が遺したグループホームで「清い人生」を送る一方で、アダルト記事のウェブライターをし、SNSに妊娠と中絶がしたいと書き込む。乾いたユーモアに満ちた文章で健常者の特権性を暴き、生と性の尊厳に迫る。
著者:市川 沙央
79年生まれ。本作で文学界新人賞を受賞しデビュー。人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。
直木賞
- 文芸春秋
極楽征夷大将軍
室町幕府の祖・足利尊氏の生涯に着目した歴史小説。「極楽殿」と呼ばれた尊氏がいかにして権力者となり得たのか、尊氏の弟・直義と足利家の執事・高師直の視点を軸に描く。兄弟の絆や尊氏のふがいない様相の奥にあるものを活写した。
著者:垣根 涼介
66年生まれ。『君たちに明日はない』で山本周五郎賞。『信長の原理』など著書多数。直木賞は3度目の候補。
直木賞
- 新潮社
木挽町のあだ討ち
江戸時代後期を舞台にした時代小説。芝居小屋のすぐそばで起きたあだ討ちの真相に、宣伝係の木戸芸者、立ち回りの振り付けをつける立師、衣装係兼女形らの証言で迫る。それぞれの語りをつなげる文体で、芝居小屋を重層的に書き表した。
著者:永井 紗耶子
77年生まれ。本作で山本周五郎賞。著書に『女人入眼』など。直木賞は2度目の候補。
おすすめの作品が分かる!あなたへの一冊
候補10作からまず1冊読むなら――。「あなたへの一冊」を選び出す2つの方法を用意しました。質問に答えていく「運命の3題」、画像で作品のキーワードを見る「直感で選ぶ」。あなたはどちらを試しますか。
芥川賞
雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品のなかから選ばれる(日本文学振興会ウェブサイトより)
- 「群像」5月号(単行本発売済み)
我が手の太陽
腕に自信のあるベテラン溶接工の伊東は、長年会社のエースを張ってきた。ところがにわかにミスを指摘されるようになり、焦りを募らせる。肉体労働を軽視する人々や組織の主従関係を生々しく活写し、表裏一体の矜持(きょうじ)と怒りを一人の職人の語りとして描出する。
作品のテイスト
著者
石田 夏穂
91年生まれ。著書に『我が友、スミス』『ケチる貴方』など。芥川賞は2回目の候補。
- 「文学界」5月号(単行本発売済み)
ハンチバック
先天性の難病で重度障害者の女性・釈華は両親が遺したグループホームで「清い人生」を送る一方で、アダルト記事のウェブライターをし、SNSに妊娠と中絶がしたいと書き込む。乾いたユーモアに満ちた文章で健常者の特権性を暴き、生と性の尊厳に迫る。
作品のテイスト
著者
市川 沙央
79年生まれ。本作で文学界新人賞を受賞しデビュー。人工呼吸器使用・電動車椅子当事者。
- 「文芸」夏季号(単行本発売済み)
##NAME##(ネイム)
主人公の雪那(せつな)は子供のころ、水着や制服風の衣装でカメラの前に立つ「ジュニアアイドル」の活動をしていた。名前が引きずる過去のしがらみ、そして絆を、登場人物の名前を読者が自由に設定できる「夢小説」と重ね合わせて表現した。
作品のテイスト
著者
児玉 雨子
93年生まれ。作詞家としてアイドルグループなどに楽曲を提供。芥川賞は初めての候補。
- 「新潮」2月号(単行本発売済み)
エレクトリック
名門男子校に通う高校生の達也は、事業で成功した父親を「英雄」と位置づける一方、男らしさへの嫌悪と同性への関心を抱えている。阪神大震災や地下鉄サリン事件が起き、インターネット黎明(れいめい)期にあたる1995年の宇都宮を舞台に、少年の煩悶(はんもん)と成長を描く。
作品のテイスト
著者
千葉 雅也
78年生まれ。哲学者。「マジックミラー」で川端康成文学賞。 芥川賞は3回目の候補。
- 「文学界」6月号(単行本発売済み)
それは誠
「平凡な高校生」である僕には、修学旅行の班行動時間を使って会いに行きたい人がいる。それぞれに事情を抱えたクラスメイトを巻き込みながら、僕の願いは班員全員の冒険に発展。青春のひとこまを冗舌な文章で明るく照らし出す。
作品のテイスト
著者
乗代 雄介
86年生まれ。『本物の読書家』で野間文芸新人賞、『旅する練習』で三島由紀夫賞。芥川賞は4回目の候補。
直木賞
新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから選ばれる(日本文学振興会ウェブサイトより)
- KADOKAWA
骨灰
渋谷駅の再開発事業に携わる松永は、施工現場の地下深くで、乾燥し嫌な臭いが充満した祭祀(さいし)場を見つけた。以来、自身はおろか娘と妊娠中の妻も変調を来す。東京における火災の歴史を背景に、都会の暗部をホラーとして描き出した。
作品のテイスト
著者
冲方 丁
77年生まれ。『天地明察』で本屋大賞、『光圀伝』で山田風太郎賞。直木賞は3度目の候補。
- 文芸春秋
極楽征夷大将軍
室町幕府の祖・足利尊氏の生涯に着目した歴史小説。「極楽殿」と呼ばれた尊氏がいかにして権力者となり得たのか、尊氏の弟・直義と足利家の執事・高師直の視点を軸に描く。兄弟の絆や尊氏のふがいない様相の奥にあるものを活写した。
作品のテイスト
著者
垣根 涼介
66年生まれ。『君たちに明日はない』で山本周五郎賞。『信長の原理』など著書多数。直木賞は3度目の候補。
- 文芸春秋
踏切の幽霊
東京・下北沢の踏切に現れる「幽霊」の取材を進めるなかで、雑誌記者の松田は1年前に起きた殺人事件を知る。身元不明の彼女は誰で、なぜ殺されたのか。一人の女性が生きた証しを拾い集めるジャーナリストの前で、生と死、2つの世界が交差する。
作品のテイスト
著者
高野 和明
01年、『13階段』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。『ジェノサイド』で山田風太郎賞。直木賞は2度目の候補。
- 小学館
香港警察東京分室
香港の民主化運動とその弾圧に材をとった警察小説。日本と香港、ふたつの警察の10人が、日本に逃亡したという民主化運動のリーダー女性を追って捜査に当たる。派手な銃撃戦を織り交ぜながら、緊迫する国際情勢をリアルに照射する。
作品のテイスト
著者
月村 了衛
63年生まれ。『欺す衆生』で山田風太郎賞。著書に「機龍警察」シリーズなど。直木賞は初めての候補。
- 新潮社
木挽町のあだ討ち
江戸時代後期を舞台にした時代小説。芝居小屋のすぐそばで起きたあだ討ちの真相に、宣伝係の木戸芸者、立ち回りの振り付けをつける立師、衣装係兼女形らの証言で迫る。それぞれの語りをつなげる文体で、芝居小屋を重層的に書き表した。
作品のテイスト
著者
永井 紗耶子
77年生まれ。本作で山本周五郎賞。著書に『女人入眼』など。直木賞は2度目の候補。