AI分析でみえた「怒り」
ゴーン日産元会長
日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで日本時間8日夜、記者会見を開いた。 日本の司法制度を批判したゴーン元会長。その表情から人工知能(AI)を用いたソフトで感情を分析すると、喜怒哀楽に揺れ動いたとみられる様子がうかがえた。
分析には米マイクロソフトのサービスを利用し、膨大な人の表情を機械学習させた特定のアルゴリズムに基づいて怒り、嫌悪、恐れ、軽蔑、悲しみ、喜び、驚きを識別。画像から感情の割合を読み取り数値化した。
- ネガティブ
- 怒り
- 嫌悪 恐れ 軽蔑
- 悲しみ
- ポジティブ
- 喜び
- 驚き
「初めて私自身を弁護できる」
「私は初めて私自身を弁護することができる」。ゴーン元会長は会見の冒頭でこう述べた。表情のAI分析では「悲しみ」の要素が出た。「2018年11月からひとときも自由がなかった。過去数カ月にわたり弁護士なしで最大1日8時間尋問された」と振り返った。
「根拠のない攻撃」
日本の司法による自身への捜査について「日本の検察や日産の経営陣によって組織化された恥知らずで根拠のない攻撃」と批判した。「悲しみ」がさらに強まった。
「逮捕には西川前CEOが関与」
2018年の自らの逮捕に関して、日産自動車の西川広人・前社長兼最高経営責任者(CEO)が関与していたと述べた。「西川氏のほか、多くの幹部が私を追い出すのに関わっていた」。手ぶりを交えて語気を強めた。AI分析は多くを「驚き」と分類し、「喜び」の瞬間もあった。
「シャワーは週2回のみ」
「週2回しかシャワーを浴びることができなかった」「英語もフランス語も話す人はいない」――。拘置所での生活を振り返った。「怒り」と「悲しみ」が強まった。
「日本の人質だった」
日本の刑事裁判での有罪率は99%だと指摘し「私が公平に扱われる兆しはなく、今後4、5年にわたり普通の生活を送れる兆しもなかった」と述べた。自らを「国の人質」だったと語った。AI分析では「嫌悪 恐れ 軽蔑」「驚き」「喜び」などが入り交じった。
日本政府関係者の関与「名前明かさず」
事件への日本政府関係者の関与については「レバノン政府に迷惑をかけたくない」として名前を明かさないと述べた。日本政府の「トップレベルが関与したとは思わない。安倍(晋三首相)さんが関わったとは思わない」と指摘した。
逃亡方法「話すつもりない」
「どのように日本を抜け出したかを語るつもりはない。代わりに、私がなぜ抜け出したかを話す」。「怒り」が強まったとAIは分析した。
「アライアンス機能せず」
元会長は自らの実績について「2017年、ルノーと日産のアライアンスはナンバー1の自動車グループだった。ビジョンも大胆な戦略もあった」と強調した。「現在はどうか。アライアンスは機能していない」と述べた。
「レバノンに長期滞在の用意」
ゴーン元会長は記者会見の質疑でフランスに渡航するかを問われ、「私はレバノンにいて囚われの身とは感じない。レバノンに長期間滞在する用意がある」と述べた。
レバノン政府から自らの身柄が日本に引き渡されないと保証を受けているとの見方については「誰からも保証はされていない」と否定した。
国外逃亡「問題かも」
保釈中に国外に逃亡したことについては「日本で法律違反をしたことは問題かもしれないが、検察もリークしてはいけないという日本の法を破っている」と批判した。
ゴーン元会長の記者会見について、日産の西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)は「日本の裁判で有罪になる可能性が高いということで逃げたのではないか。また裏切られたという感じが強い」と述べた。