地域別新規感染者数と新規死者数

  • ヨーロッパ
  • 北米
  • アジア
  • 中南米
  • その他
  • 新規死者数

新規死者数(人)
線グラフ

新規感染者数(万人)
積み上げグラフ

スクロール

感染者、世界で5000万人

コロナ禍が
広げる医療格差

新型コロナウイルスは中国から世界に広がり、10カ月余りで5000万人が感染した。途上国では医療体制が整わないため死者数を抑制できず、先進国との「南北問題」の様相を呈しつつある。死亡につながるリスクは若者より重症になりやすい高齢者で高まる。コロナ禍は先進国と途上国、高齢者と若者などの「格差」を広げている。

新規感染、欧米が7割占める

5000万人に達した感染者数をアジアや欧州など地域別に見てみよう。データは米ジョンズ・ホプキンス大に基づく。チャートは世界で1日あたりに確認される新規感染者と新規死者数(いずれも7日移動平均)の推移で、感染者数は地域別に分類した。

感染者数は10月以降、欧州と北米で増加ペースが加速する一方、アジアは減っている。直近1週間の新規感染者を見ると、欧州が5割、北米が2割で、欧米が全体の7割を占めている。

11月に入って1日あたりに確認される新規感染者数(7日移動平均)は50万人を上回っている。現在感染している人は世界で1000万人を超え、足元で増え続けている。

欧州
新規感染、第1波の8倍に

欧州(ロシア・東欧を含む)は4月の「第1波」と比べて、直近の感染拡大の勢いが著しい。11月に入ってからの感染者は1日あたり25万人を超えており、第1波ピークの3.5万人と比べて約8倍のペースになっている。多くの国で過去最多を更新中だ。

3〜4月にかけて感染が急速に拡大した。6月以降、新規感染者数が大幅に減少し、多くの国が域内移動などの行動制限を緩和した。

8月中旬から再び感染が再燃し、規制緩和が裏目に出た。夏休みで人が広範囲に移動したため再拡大を引き起こした。10月下旬から欧州各国はロックダウン(都市封鎖)など厳しい行動制限へ再びカジを切った。

10月からは新規死者数も急増している。特にチェコやポーランドなど東欧やロシアでの増加が目立つ。

春はフランスやイタリア、スペインで医療体制が整わず、重症化して死に至るケースが多かった。フランスのマクロン大統領はこのまま感染拡大が続けば11月中旬に集中治療室(ICU)がいっぱいになる可能性があるとし、警戒を強めている。

北米
過去最多ペースで拡大

米国も欧州と同じように過去最多ペースを更新している。4月、7月の感染拡大のピークに続く「第3波」は拡大に拍車がかかっている。

地域ごとに濃淡がある。4月の「第1波」でホットスポットになったのはニューヨーク州など東部だった。7月の「第2波」はテキサス州など南部、カリフォルニア州など西部が目立った。

「第3波」は中西部を中心に感染が広がる。中西部は行動規制が比較的緩い州が多いことに加え、気温低下を受けて屋内での活動が増えて密になり感染しやすくなっているためとみられる。

死者数は春のピークと比較すると相対的に少ない。検査の拡充に加えて、学校再開に伴い、若年層での感染が広がっていることが挙げられる。ただ入院患者数は増えており、医療体制への懸念も高まっている。

アジア
インドが8割、感染者数は死者数と連動

アジアでは中国など感染が抑制された国もあるが、インドがアジア全体の感染者数を押し上げている。

インドはアジアの累計感染者1000万人余りのうち8割を占める。9月まで一貫して上昇傾向を続けた。3月下旬に厳格な行動制限を導入したが、経済の落ち込みが激しく感染者の減少を待たずに解除した。行き場を失くした出稼ぎ労働者が都市部から帰郷したこともあり、爆発的な感染拡大を招いた。9月からは減少傾向にあり、マスク着用や消毒の徹底などの対策が効いている可能性がある。

欧米と比べるとアジアでは感染者数と死者数が同じように増えたり減ったりして連動している傾向が見て取れる。

中南米
冬季終え減少傾向、死者の抑制に苦慮

中南米も全体として感染者数と死者数が連動している傾向がうかがえる。

中南米で感染者数が最も多いブラジルは貧困層の不満を背景に早期に経済活動を再開したことで感染が広がった。もろい医療体制も追い打ちをかけ、死者数の急増という大きな代償を払った。

南半球で冬季が終わった10月以降、新規感染者数は減少傾向にある。医療体制が十分に整っていない地域も多く、各国は死者数の抑制に苦慮している。

1~2月
始まりは中国、武漢で感染拡大

始まりは中国の湖北省武漢市だった。2019年12月に最初の新型コロナウイルス感染者が確認された。感染は湖北省で急拡大して中国全土に及び、2020年1月中旬には日本で最初の感染者が出た。1月中旬からは韓国、タイなど中国の周辺に波及した。2月までの感染者は世界で約8万6千人で、9割以上を中国が占めた。

3~5月
欧米で拡大、「パンデミック」宣言

中国が抑制傾向に入る一方、欧州と米国で猛威を振るった。欧州では厳格なロックダウン(都市封鎖)に踏み切る国が続出した。米国はニューヨーク州など東海岸を中心に感染が爆発的に増加した。感染者数は欧州も米国も3月に中国を上回った。3月には世界保健機関(WHO)がパンデミック(世界的な大流行)を宣言した。4月は欧州などで医療体制が整わず、死者数が急増した。

6~8月
感染拡大の震源地は南米・アジアに

中南米やインドなどの新興・途上国で感染が広がった。医療体制が脆弱な場所が多く、死者の増加を招いた。6月ごろから急速に感染が拡大したのは南米だ。医療体制が脆弱なことに加え、低所得者の稼ぎのために国が経済活動を止められず、感染拡大を招いた。

9月以降
欧米が再び感染の中心に

9月以降、欧米で再び感染者が急増している。検査数が増えたことも背景にあるが、夏休みの人の移動や気温が低下していることが影響しているとの指摘が出ている。おおむね横ばいだった新規死者数は10月下旬から増加傾向が鮮明になっている。死者数は東欧など医療体制が整っていない地域で増加が目立つ。

致死率、途上国で抑制できず 医療格差が生む「南北問題」

感染者数に占める死者数の割合(致死率)を先進国と新興・途上国に分けて見てみよう。国別の致死率を先進国と新興・途上国に分けて単純平均の値を出して比べてみた。春に欧州で感染が拡大した際には、イタリアやスペイン、米国などの先進国で多くの犠牲者を出した。

先進国と途上国の致死率

    (%)

    先進国の致死率は検査拡充や医療ノウハウの蓄積により低下を続けている。一方、ブラジルやインドなどの新興国では致死率の大幅な低下には至っていない。医療体制が脆弱な新興国では、検査も十分に行うことができず、感染状況の把握ができていないという指摘がある。適切な治療が行われずに重症者が命を落とすケースもある。致死率は10月に入り先進国が途上国を下回った。コロナ禍は新たな南北問題を浮かび上がらせた。

    致死率、米国は都市部より地方で高く

    コロナ感染は人口密度の高い都市部と、人口の少ない地方で違いはあるのだろうか。

    米国の都市部と地方の致死率

      (%)

      (注)都市部と地方の分類は米農務省(USDA)に準拠。一部分類できないデータは対象外とした

      米国の都市部と地方に分けた致死率を28日移動平均で出してみた。当初は「3密」になりやすい都市部で高かったが、医療体制が整ったことで低下した。一方で、地方はそれほど下がっておらず、8月から都市部よりやや高い水準にある。

      地方は高齢者の割合が都会と比べて多いことや、最寄りの医療機関が遠いため医者にかかる前に他の人にうつしてしまうことが要因として指摘されている。

      米国の都市部と地方の人口10万人あたりの感染者数

        (人)

        (注)7日移動平均

        米国の新規感染者数(人口10万人あたり)を都市部と地方に分けて見てみると、感染拡大は都市部より地方の方が勢いを増している様子が分かる。当初は都市部での増加が顕著だったが、8月から逆転し、地方での感染が拡大している。

        若者から幅広い年代に広がり、高齢者に波及

        感染者を年代別に見てみる。感染が広がる欧州では、20代の若者から感染が始まり、その後、高齢者を含めた全世代に広がっていく様子が明確になっている。

        フランス、ドイツ、日本、米国4カ国の感染者数をヒートマップで見てみる。各国ごとに赤色が濃いほど感染者が多いことを表している。

        各国の年代別感染者数
        フランス

        ドイツ

        日本

        米国

        フランスは20代の若者から感染が広がり、10月後半から60代以上の高齢者にも波及した様子が見て取れる。ドイツは8月後半に20代で感染が広がり始め、10月に入って週を追うごとに幅広い世代に感染が拡大した。米国は幅広い年代に感染が広がっているが、20代で特に感染者が多い傾向が続いている。

        日本では4月の第1波は幅広い年代で感染者が出たが、行動自粛などで5月ごろにいったん収束した。7月ごろからまず20代の感染者が増え、8月以降は30代から80歳以上の幅広い年代に拡大した。

        20代は行動が活発で、感染しても軽症か無症状で済むことが多い。感染に気づかないケースも多い。一方で高齢者は重症になって死亡するリスクが比較的大きい。

        被害少ないアジア
        「ファクターX」は何か

        欧米に比べて日本などアジアの国々では、新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数は低い水準にとどまる。京都大学の山中伸弥教授はこうした国々の被害が少ない未知の要因を「ファクターX」と名付けた。ファクターXはいまだに分かっていないが、人種間の遺伝子の違いや予防接種の履歴、マスクや手洗いなどの生活習慣が候補として挙げられている。

        10万人あたりの累計死者数

        (人)

        (注)11月6日時点