厳しさ増す犯罪情勢 データが映す日本の治安

2023年の国内の犯罪情勢は刑法犯認知件数が前年比17%増の70万3351件に上り、2年連続で増加した。特殊詐欺の被害は7年ぶりに400億円を超え、暴行や傷害といった街頭犯罪も増えている。世界に誇れる日本の治安の良さは維持できるのか。警察はSNSなどでつながる新たな形態の犯罪グループが脅威になっているとみて摘発に力を入れる。

2023年の認知件数、
70万3351件
2年連続増加

2023年の刑法犯認知件数は70万3351件だった。自転車盗や傷害などの街頭犯罪が24万3987件に上り、前年から2割増えた。新型コロナウイルスの流行が収束し、人流が戻った影響があるとみられている。

詐欺が急増、被害額1625億円

出所:警察庁

2023年の犯罪情勢で特に増加が目立ったのが詐欺による被害だ。被害額は約1625億8千万円と前年から85.4%増えた。通信アプリやSNSをはじめ、犯行手段としてインターネットが使われる事件が目立つ。ネットを悪用した詐欺の被害は約772億4千万円と22年から倍増。詐欺全体の被害額の47%を占めた。

警察庁の露木康浩長官は「SNSを使った非対面型の投資詐欺や国際ロマンス詐欺といった手口による被害が大きく増加している。極めて憂慮すべき状況だ」と話す。

人口10万人あたりの
認知件数、大阪府が最多

人口10万人あたりの刑法犯認知件数を都道府県別にみると、2023年は大阪府が912件で最多だった。群馬県、茨城県が続いた。最少は岩手県の240件だった。

人口あたりの認知件数、
全都道府県で増加

人口10万人あたり刑法犯認知件数は全ての都道府県で2022年より増えた。