水に襲われた街
地図でみる河川決壊・浸水
台風19号は東日本の広い範囲で河川の堤防決壊や浸水をもたらした。国土交通省によると、堤防が決壊したのは55河川で79カ所(16日午前5時時点)。国土地理院のデータなどをもとに浸水の広がりや深さを地図で見てみる。
千曲川
千曲川では長野市穂保付近の堤防が約70mにわたり決壊し、付近の学校や住宅、医療機関が水につかった。国土地理院による推定では、浸水の深さは最大で約4.3メートルだった。推定浸水の地図を見ると、JR東日本の「長野新幹線車両センター」がある地点や周辺の推定浸水は深い。同センターでは北陸新幹線全体の3分の1に及ぶ計10編成が被災した。
決壊地点の下流は川幅が狭くなっている。川からあふれた水が堤防を削り、決壊に至る恐れがある「越水」が起きた可能性がある。
吉田川
吉田川は宮城県大郷町で堤防が約100メートルにわたり消失した。周辺での浸水は大郷大橋の北側で約4.5メートルの深さに達した。
阿武隈川下流
宮城県の阿武隈川水系では新川の堤防が決壊、丸森町役場など町の広範囲が浸水した。同水系半田川でも水害が発生。阿武隈急行の鉄道路線も一部で被害が出た。
久慈川
久慈川は茨城県常陸大宮市内の3カ所で堤防が決壊した。浸水の深さは最大約4メートル。JR東日本によると、同川にかかる水郡線の鉄橋が流された。
越辺川・都幾川
都幾川では埼玉県東松山市で堤防が決壊、流域の坂戸市内で約3メートルの浸水が確認された。
越辺川は川越市と東松山市で堤防の決壊が確認され、川越市の方は長さが70メートルにわたった。川越市内へも広い範囲で浸水し、約120人の入居する特別養護老人ホームが一時、孤立した。
決壊・浸水マップは国土地理院や国土交通省の発表資料(速報値)をもとに作成。一部推定。