人工知能(AI)の普及を追い風に、ロボットが私たちのかかわるあらゆる仕事に使われだしている。日本経済新聞とフィナンシャル・タイムズ(FT)が米マッキンゼー・アンド・カンパニーのデータを基に共同調査をしたところ、人がかかわる約2,000種類の仕事のうち、3割はロボットに置き換えが可能なことが分かった。単純な繰り返し作業から高度なデータ分析まで、ロボットの適用領域は幅広い。ロボットがおとぎ話ではなく当たり前の時代。生産性を高め、人の仕事のレベルも上げていく知恵が求められている。
自動車の組み立てなど工場での作業はロボットが最も得意とする分野の一つだ。人よりも素早くかつ正確に部品を組み付ける作業や、溶接など人が敬遠しがちな危険な作業をロボットは24時間365日、休むことなくこなしてくれる。完全無人の工場は現時点ではまだ実現が難しそうだが、最近はAIを搭載した自律型の工場ロボットも登場しており、人でなければできない作業はどんどん減る傾向にある。現場力を強みに競争力を維持してきた日本の製造業も盤石では無い。
最もロボットによる代替が難しい職業と思われがちな最高経営責任者(CEO)だが、日経とFTの調べでは22%が自動化できることが分かった。経営戦略を練ったり、為替の急変動など不測の事態に対応したりと、判断力を要する仕事はまだロボットには難しいが、データ解読といった単純業務はいまや人が手掛ける必要がなくなっている。リスクと隣り合わせの判断を部下に丸投げしたり、人とのコミュニケーションを軽んじたりするような経営者は、早晩ロボットに退陣を強いられることになりそうだ。
創造力にまかせて絵を描いたり空間をデザインしたりする仕事はロボットは苦手だ。日経とFTの調査でもデザイナーについては78%の業務で自動化に適していないとの数値が出た。デザイナーの競争力は独自性や誰もが納得する芸術性だが、こうした力に磨きをかけ続けていればロボットに仕事を奪われることはなさそうだ。とはいえAIでも世界各地の服のデザインを読み取り、そこから独自のパターンを編み出すといった作業ならば十分に可能だ。ロボットデザイナーの誕生は夢物語ではない。
ロボット化は単純作業に適している。例えば金融機関の仕事でもデータを移し替えるだけの単純作業はロボット化が進み、データを基に投資判断を下すといった、より高度な仕事は人が手掛ける方向にある。金融の仕事は各種業種のなかでもデータの扱い量が多いだけに、実はロボット化に最も適した業種といわれている。AIの導入が進めば、専門職の仕事であっても安泰ではなくなりそう。生き残りのためには今以上に高度な知識の習得が求められている。