年収1000万円超狙い撃ち こんなに違う所得税負担

年収700万円ラインに注目

(注)国税庁「民間給与実態統計調査」を基に作成。専業主婦の配偶者と16歳未満の子供が2人いる会社員をモデルケースとした。2020年の予測値は16年の数値を基準とし、給与所得控除の上限額引き下げなどの影響を考慮した。

高所得層を中心に所得税負担が増している。AGSコンサルティングの和田博行税理士の協力を得て、ビジネスパーソンを対象にした民間給与実態統計調査(国税庁)から試算した。

注目すべきは「年収700万円」のラインだ。2001年以降、「年収700万円超」以上は所得税額が上昇し、「700万円以下」は軒並み減少している。

「1000万円超1500万円以下」の所得税負担は01年に88万8000円。16年には107万円に膨らんでいる。

「400万円超500万円以下」は01年に12万5000円だが、16年は9万2000円にむしろ減っている。

高所得層に厳しい税率改定と給与所得控除見直しの影響だ。20年試算では「1000万円超1500万円以下」の所得税負担は108万6000円と、110万円台に近づく。民間給与の平均(422万円)と重なる「400万円超500万円以下」は9万2000円と変わらない。

納税額の半分、4%が負担

(注)国税庁「民間給与実態統計調査」を基に作成

16年に源泉徴収で所得税を納めた給与所得者は4112万人。納税額は9兆418億円だ。このうち49.9%にあたる4兆5167億円分を、給与所得者全体の4.2%に過ぎない「1000万円超」の人たちが負担している。

和田税理士は「日本企業の国際競争力を高めるため法人税は下げざるをえず、所得税負担を増やして税収を確保する傾向が続いている。格差拡大が指摘されるなか、とりやすい高所得層が狙い撃ちされている」と語る。

18年度の税制改正法案には、20年から①「年収850万円超」の給与所得控除は一律195万円②「年間所得2400万円超」の基礎控除は縮小、「年間所得2500万円超」でゼロ――が盛り込まれている。高所得層と低所得層の所得税負担の格差は拡大傾向にある。

取材・制作
高岡憲人、逸見純也、久能弘嗣
取材協力
AGSコンサルティング

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