NIKKEI・FT共同特集きしむ世界 試練のG7

よくわかるG7世界シェアと勢力

 日米欧の主要7カ国(G7)は5月26〜27日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を三重県で開いた。日本で開くサミットは8年ぶり6回目。1975年の初会合から40年あまりが過ぎたサミットは、国際社会の中で常にその存在意義を問われてきた。G7に新興12カ国と欧州連合を加えたG20の勢力が大きくなる中で、G7の今の姿を描き出した。

伊勢志摩サミットの記念写真(26日午後、三重県志摩市の志摩観光ホテル)(代表撮影)

G7の世界シェア
5割切るGDP、人口は約1割

  • G5参加国
  • G20参加国・地域(EUを含む)
  • 他国

(注)国連の資料をもとに作成。左のスペースのG5、G7、G8の表記は、その年の主要国首脳会議(サミット)参加国数に合わせて変えている。国連が推計した各国・地域データから世界全体の名目GDPや人口を合計し、割合を算出した。EU(その他)は、EU加盟国のうちG7以外の国。

 「主要7カ国」を意味する「G7」(Group of Seven)。経済規模や人口で見た場合、世界の中でどれぐらいの「シェア」を占めているのか。

 G7メンバーは日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ。名目GDPで見た場合、そのシェアはピークの1980年代後半に70%近くあり、名実ともに世界経済をリードしていた。しかし、G7のGDPシェアはそこから下降線をたどる。90年代~2000年前半までは60%台をキープしていたが、世界経済を揺るがした08年のリーマン・ショックを経て、現在は50%を切っている。人口シェアもピークの1970年代後半には約15%あったが、その後はゆるやかに減少し、2014年は約10%にまで下がった。

 一方、存在感を高めたのが新興国だ。1994年と2014年の20年間の変化を見ると、G7が50%を切ったのに対し、「BRICS」各国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のGDPシェアは7.3%から21.9%に上がった。14年の世界シェアでは中国だけで世界全体の約13%を占めた。新興国の経済成長はここにきて鈍化している。そのシェアが大きくなっているだけに、世界経済の足かせになる懸念がある。

  • G7参加国
  • BRICS参加国
  • その他

「高齢化」「働き手」で見るG7

  • 日本
  • G7参加国
  • BRICS

(注)国連の資料をもとに作成

 G7各国の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は1980年代までは緩やかに上昇していた。しかし、90年代に入り、高齢化のスピードが一気に速まり、医療・福祉など高齢者向けサービスを充実させたイギリス、ドイツ、フランス、イタリアが軒並み15%を超えた。日本は2000年に17%を突破した。さらに日本は2015年には高齢化率が25%を上回り、国民の4人に1人が高齢者という「超高齢化」時代に突入した。

 90年代以降、対照的に減少を始めたのが生産年齢人口比率(全人口に占める15歳~64歳の割合)だ。高齢化が進むと同時に若い労働力人口が減り、労働力の確保は経済成長を考えるうえで重要な課題になった。

 一方、人口急増が続く「BRICS」各国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、若い労働力を背景に高度経済成長期に突入。高齢化率は依然として低い水準を保ち、2000年代に入っても中国の6%、ブラジル5%、インド4%と、世代別の人口構成比はG7と大きく異なる。高い経済成長を支える生産年齢人口も2020年代ごろまで拡大が続くとみられる。ただし、高齢化の波はBRICS各国にも忍び寄り、2020年以降、高齢化率の上昇スピードが上がっていく見通しだ。

移り変わる「G」

 G5、G7、G8、G20――。「G」に続く数字は、その時代を映して移り変わってきた。「G」の主要会合は大きく分けて2つある。一つは主要国のトップが集まる首脳会議(サミット)。もう一つは、為替相場の安定など経済政策の協調の場として開く財務相・中央銀行総裁会議だ。石油ショックで世界経済が混乱した1973年、その対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これが「G5」の枠組みの始まりだ。

 その後、サミットにはイタリアとカナダが加わり「G7」体制ができる。東西冷戦後、ロシアがサミットに加わり「G8」の形ができたのは98年。しかし、2014年にはクリミアに侵攻したロシアの参加を停止させ、再び「G7」の枠組みに戻っている。

 アジア通貨危機後の1999年に開いたのが「G20」の財務相・中央銀行総裁会議だ。G7にロシア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、トルコと欧州連合(EU)を加えた20カ国・地域の枠組みがG20。リーマン・ショックを受けて2008年からは首脳会議も開いている。

1970年代

石油危機後の
世界経済
回復探る

1973

フランスで日、米、英、仏、西独の5カ国財務相が会合を開く

「G5」の枠組みができる

1975

ランブイエ(仏)サミット

第1回の主要国首脳会議。参加国は日、米、英、仏、西独、伊の6カ国

1976

サンフアン(プエルトリコ)サミット

参加国にカナダが加わる

首脳会議で「G7」が確立

1979

東京サミット

日本で初開催。石油高騰抑制へ石油消費・輸入の数値目標を設定

1980年代

東西冷戦で続く
政治対立

1980

ベネチア(伊)サミット

ソ連のアフガン侵攻で首脳会議は政治に軸足

1986

東京サミット

日本で2回目の開催。為替レートの安定を目的とした先進工業国間の政策協調について合意

「G7」の財務相会議を創設

1990年代

冷戦終結、
グローバル化へ

1991

ロンドン(英)サミット

G7首脳とソ連のゴルバチョフ大統領が会談

1993

東京サミット

日本で3回目の開催。経済宣言は日本の黒字削減努力を促す内容に

1998

バーミンガム(英)サミット

参加国にロシアが加わる

首脳会議が「G8」

1999

G7にロシア、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、EU(欧州連合)を加えた財務相・中央銀行総裁会議を開く

財務相会議が「G20」

2000年〜

世界経済、
地球温暖化対策、
テロ対応などが
テーマに

2000

沖縄サミット

日本で4回目の開催。首脳宣言でIT(情報技術)の発展を促す

2008

洞爺湖サミット

日本で5回目の開催。2050年までに温暖化ガス半減を目標を掲げる

同年、リーマン・ショックで世界経済が急速に悪化

G20首脳会議を米ワシントンで開く

2014

ブリュッセル(ベルギー)サミット 

クリミア侵攻をしたロシアを排除

首脳会議が再び「G7」

2016

伊勢志摩サミット

 日本経済新聞と英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は5月26日、共同特集「きしむ世界 試練のG7」を日経朝刊と電子版で掲載しました。G7は世界経済への影響力を示せるのか。伊勢志摩サミットで問われるG7の存在意義や各国首脳の指導力について考察しています。

 紙面では、主要国の金融政策について、FTを代表するコラムニスト、マーティン・ウルフ氏の見方「金融緩和 『劇薬』にはリスク」を紹介しています。日本やユーロ圏で政策金利がマイナスに突入した金融緩和政策はもう限界なのか。主要国の中央銀行はデフレ対策をどう進めるべきなのか。新たな金融バブル発生の可能性にも触れつつ、今、打つべき手を提言しています。

マーティン・ウルフ

FTのチーフ・エコノミクス・コメンテイター。世界で最も影響力のある経済ジャーナリストの1人。著書に「シフト&ショック」など。2000年に大英帝 国勲章を受けた。

マーティン・ウルフ
制作
板津直快、古山和弘、結城立浩、清水明、清水正行

Visual Data 一覧へ戻る