よくわかるG7世界シェアと勢力

 イタリア・シチリア島の景勝地タオルミナでの主要国首脳会議(サミット)は主要7カ国(G7)のうちトランプ米大統領ら4首脳が初参加となった。1975年の初会合から40年あまりが過ぎ、新興国を加えたG20の影響力が増すなか、存在意義が問われるG7の姿を描いた。

記念撮影に応じるG7首脳(26日、タオルミナ)=ロイター

2017タオルミナ・サミット、
4人が新顔

イタリア

ジェンティローニ首相(62)ロイター

ジェンティローニ 首相 (62)

1回目出席

 初参加のサミットで議長を務める。レンツィ前政権では外相だった。昨年12月、憲法改正を問う国民投票で敗北した前首相の辞任を受けて後任に。前首相が返り咲きを狙うなか、来春までに実施される総選挙までの暫定首相、との見方もある。中国が5月に実施したシルクロード経済圏構想「一帯一路」の国際会議にG7首脳ではただ1人出席した。

米国

トランプ大統領(70)ロイター

トランプ 大統領 (70)

1回目出席

 もとはニューヨークの不動産王。昨年秋の大統領選で「アメリカ・ファースト」を掲げ勝利した。環太平洋経済連携協定(TPP)の脱退をはじめ、オバマ前政権の路線を修正している。米連邦捜査局(FBI)長官の解任により、ロシアが大統領選に干渉した疑惑に再び火をつけた。サミットで就任後初の海外出張と中東・欧州歴訪を締めくくる。

英国

メイ首相(60)ロイター

メイ 首相 (60)

1回目出席

 昨年6月の国民投票で欧州連合(EU)離脱決定後、故サッチャー氏に次ぐ2人目の女性首相に就いた。離脱のかじ取りが最大の課題だ。政治基盤を一段と強化するため決断した6月8日の総選挙は、与党・保守党の優勢が伝わる。サミットでは、保護主義を強める米国とそれを警戒する他の欧州勢を橋渡しできるかも試される。

フランス

マクロン大統領(39)ロイター

マクロン 大統領 (39)

1回目出席

 4~5月の大統領選で右派でも左派でもない中道系候補として戦い、勝利した。サミットが事実上の外交デビュー。民主主義や自由貿易の擁護者の立場をとる。オランド前政権で経済産業デジタル相を務めたが外交手腕は未知数だ。参加首脳で最年少。高校時代に恋に落ち後に結婚した25歳年上のブリジット夫人との「年の差婚」は知られている。

日本

安倍晋三首相(62)

安倍晋三 首相 (62)

6回目出席

 サミット参加回数は日本の歴代首相で小泉純一郎氏と並んで最多となる。国政選挙に4連勝し、安倍1強といわれる政治基盤を構築。超長期政権を視野に入れ、憲法を改正し2020年に施行する目標も掲げた。トランプ米大統領とは早くから良好な関係を築き、サミットでも連携できると踏む。挑発を続ける北朝鮮に国際的圧力を強める考えだ。

ドイツ

メルケル首相(62)ロイター

メルケル 首相 (62)

12回目出席

 サミットでは最古参。欧州連合(EU)の盟主で、自由貿易を推進する立場だ。7月のG20(主要20カ国・地域)サミットの議長でもあり、今回のサミットでは保護主義を強める米国との対立を避けつつ着地点を探る。英国とのEU離脱交渉を混乱なく進められるかも問われている。2005年に首相に就任。9月の連邦議会選挙で4選されるとの見方も多い。

カナダ

トルドー首相(45)ロイター

トルドー 首相 (45)

2回目出席

 世界屈指の「イケメン政治家」として知られ、昨年の伊勢志摩サミットではホンダの自動運転車に試乗するパフォーマンスもみせた。難民・移民の受け入れなどリベラルな政策路線。米国、メキシコとはじめる北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉が課題となっている。父はサミットに8回も参加したピエール・トルドー元首相。

EU

トゥスクEU大統領(60)ロイター

トゥスク EU大統領 (60)

3回目出席

 ポーランドの元首相。2014年に欧州連合(EU)の元首、大統領に就いた。初の東欧出身大統領でもある。3月に再任を決めた際、加盟28カ国のうち出身国ポーランドだけが反対する異例の事態となったのは、同国の現在の与党が右派でありトゥスク氏と対立しているためだ。メルケル独首相らの強い支持を受けながら、英国との離脱交渉などにあたる。

EU

ユンケル欧州委員長(62)ロイター

ユンケル 欧州委員長 (62)

3回目出席

 ルクセンブルクの元首相。欧州連合(EU)の政策執行機関である欧州委員会のトップを務める。ルクセンブルクで財務相だったころ、単一通貨ユーロの創設準備に力を尽くし「ミスター・ユーロ」の異名をとった。メイ英首相と4月に会談した際、EU離脱を巡り衝突したと報道された。2019年秋に任期切れを迎えるが、2期目を目指さず退任する意向だ。

G7の世界シェア
5割切るGDP、人口は約1割

  • G5参加国
  • G20参加国・地域(EUを含む)
  • 他国

(注)国連の資料をもとに作成。左のスペースのG5、G7、G8の表記は、その年の主要国首脳会議(サミット)参加国数に合わせて変えている。国連が推計した各国・地域データから世界全体の名目GDPや人口を合計し、割合を算出した。EU(その他)は、EU加盟国のうちG7以外の国。

 「主要7カ国」を意味する「G7」(Group of Seven)。経済規模や人口で見た場合、世界の中でどれぐらいの「シェア」を占めているのか。

 G7メンバーは日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ。名目GDPで見た場合、そのシェアはピークの1980年代後半に70%近くあり、名実ともに世界経済をリードしていた。しかし、G7のGDPシェアはそこから下降線をたどる。90年代~2000年前半までは60%台をキープしていたが、世界経済を揺るがした08年のリーマン・ショックを経て、現在は50%を切っている。人口シェアもピークの1970年代後半には約15%あったが、その後はゆるやかに減少し、2014年は約10%にまで下がった。

 一方、存在感を高めたのが新興国だ。1994年と2014年の20年間の変化を見ると、G7が50%を切ったのに対し、「BRICS」各国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)のGDPシェアは7.3%から21.9%に上がった。14年の世界シェアでは中国だけで世界全体の約13%を占めた。新興国の経済成長はここにきて鈍化している。そのシェアが大きくなっているだけに、世界経済の足かせになる懸念がある。

  • G7参加国
  • BRICS参加国
  • その他

「高齢化」「働き手」で見るG7

  • 日本
  • G7参加国
  • BRICS

(注)国連の資料をもとに作成

 G7各国の高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は1980年代までは緩やかに上昇していた。しかし、90年代に入り、高齢化のスピードが一気に速まり、医療・福祉など高齢者向けサービスを充実させたイギリス、ドイツ、フランス、イタリアが軒並み15%を超えた。日本は2000年に17%を突破した。さらに日本は2015年には高齢化率が25%を上回り、国民の4人に1人が高齢者という「超高齢化」時代に突入した。

 90年代以降、対照的に減少を始めたのが生産年齢人口比率(全人口に占める15歳~64歳の割合)だ。高齢化が進むと同時に若い労働力人口が減り、労働力の確保は経済成長を考えるうえで重要な課題になった。

 一方、人口急増が続く「BRICS」各国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、若い労働力を背景に高度経済成長期に突入。高齢化率は依然として低い水準を保ち、2000年代に入っても中国の6%、ブラジル5%、インド4%と、世代別の人口構成比はG7と大きく異なる。高い経済成長を支える生産年齢人口も2020年代ごろまで拡大が続くとみられる。ただし、高齢化の波はBRICS各国にも忍び寄り、2020年以降、高齢化率の上昇スピードが上がっていく見通しだ。

移り変わる「G」

 G5、G7、G8、G20――。「G」に続く数字は、その時代を映して移り変わってきた。「G」の主要会合は大きく分けて2つある。一つは主要国のトップが集まる首脳会議(サミット)。もう一つは、為替相場の安定など経済政策の協調の場として開く財務相・中央銀行総裁会議だ。石油ショックで世界経済が混乱した1973年、その対応を巡って日本、米国、英国、フランス、西ドイツの各財務相が集まった。これが「G5」の枠組みの始まりだ。

 その後、サミットにはイタリアとカナダが加わり「G7」体制ができる。東西冷戦後、ロシアがサミットに加わり「G8」の形ができたのは98年。しかし、2014年にはクリミアに侵攻したロシアの参加を停止させ、再び「G7」の枠組みに戻っている。

 アジア通貨危機後の1999年に開いたのが「G20」の財務相・中央銀行総裁会議だ。G7にロシア、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、トルコと欧州連合(EU)を加えた20カ国・地域の枠組みがG20。リーマン・ショックを受けて2008年からは首脳会議も開いている。

1970年代

石油危機後の
世界経済
回復探る

1973

フランスで日、米、英、仏、西独の5カ国財務相が会合を開く

「G5」の枠組みができる

1975

ランブイエ(仏)サミット

第1回の主要国首脳会議。参加国は日、米、英、仏、西独、伊の6カ国

1976

サンフアン(プエルトリコ)サミット

参加国にカナダが加わる

首脳会議で「G7」が確立

1979

東京サミット

日本で初開催。石油高騰抑制へ石油消費・輸入の数値目標を設定

1980年代

東西冷戦で続く
政治対立

1980

ベネチア(伊)サミット

ソ連のアフガン侵攻で首脳会議は政治に軸足

1986

東京サミット

日本で2回目の開催。為替レートの安定を目的とした先進工業国間の政策協調について合意

「G7」の財務相会議を創設

1990年代

冷戦終結、
グローバル化へ

1991

ロンドン(英)サミット

G7首脳とソ連のゴルバチョフ大統領が会談

1993

東京サミット

日本で3回目の開催。経済宣言は日本の黒字削減努力を促す内容に

1998

バーミンガム(英)サミット

参加国にロシアが加わる

首脳会議が「G8」

1999

G7にロシア、中国、韓国、インド、インドネシア、オーストラリア、トルコ、サウジアラビア、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、EU(欧州連合)を加えた財務相・中央銀行総裁会議を開く

財務相会議が「G20」

2000年〜

世界経済、
地球温暖化対策、
テロ対応などが
テーマに

2000

沖縄サミット

日本で4回目の開催。首脳宣言でIT(情報技術)の発展を促す

2008

洞爺湖サミット

日本で5回目の開催。2050年までに温暖化ガス半減を目標を掲げる

同年、リーマン・ショックで世界経済が急速に悪化

G20首脳会議を米ワシントンで開く

2014

ブリュッセル(ベルギー)サミット 

クリミア侵攻をしたロシアを排除

首脳会議が再び「G7」

2016

伊勢志摩サミット

日本で6回目の開催。閉幕後、オバマ米大統領が広島の平和記念公園を訪れた

2017

タオルミナ(伊)サミット

制作
板津直快、犬童文良、古山和弘、結城立浩、清水明、清水正行

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