イノベーション力 強い企業はどこだ?

日本経済新聞は一橋大学イノベーション研究センターと共同で企業の「イノベーション力」ランキングをまとめた。組織力、価値創出力、潜在力の3つの観点から評価し総合ポイントで順位をつけた。

米IT大手が上位独占 日本はトヨタが最高

総合ランキング

順位企業名ポイント業界名国名(地域名)
1フェイスブック203.3IT米国(北米)
2アマゾン・ドット・コム189.7IT米国(北米)
3アルファベット(グーグル)181.5IT米国(北米)
4アップル180.3IT米国(北米)
5ネットフリックス174.7通信米国(北米)
6マイクロソフト174.7IT米国(北米)
7インテル172.3電機米国(北米)
8AT&T167.0通信米国(北米)
9アリババ集団166.5IT中国(アジア)
10エヌビディア166.4電機米国(北米)
11トヨタ自動車165.7自動車・自動車部品日本(日本)
12クリスチャン・ディオール165.5アパレルフランス(欧州)
13ロイヤル・ダッチ・シェル165.5エネルギー英国・オランダ(欧州)
14ジョンソン・エンド・ジョンソン165.2製薬米国(北米)
15マイクロン・テクノロジー164.9電機米国(北米)
16サムスン電子164.5電機韓国(アジア)
17ブロードコム163.2電機米国(北米)
18ノバルティス162.9製薬スイス(欧州)
19グラクソ・スミスクライン162.6製薬英国(欧州)
20ASML161.8電機オランダ(欧州)
21BMW161.2自動車・自動車部品ドイツ(欧州)
22騰訊控股(テンセント)161.1IT中国(アジア)
23シスコシステムズ160.8通信米国(北米)
24杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)160.7電機中国(アジア)
25美的集団160.6電機中国(アジア)
26バイオジェン160.4製薬米国(北米)
27アプライドマテリアルズ160.2電機米国(北米)
28ロシュ160.2製薬スイス(欧州)
29ロレアル160.0化粧・日用品フランス(欧州)
30LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン159.8アパレルフランス(欧州)
31ネスレ159.5食品スイス(欧州)
32京東集団(JDドットコム)159.4IT中国(アジア)
33楽天159.2小売日本(日本)
34ユニリーバ159.0化粧・日用品英国(欧州)
35テキサス・インスツルメンツ158.8電機米国(北米)
36ソニー158.6電機日本(日本)
37エクソンモービル158.3エネルギー米国(北米)
38ノボノルディスク158.2製薬デンマーク(欧州)
39ペイパル158.1IT米国(北米)
40サノフィ157.9製薬フランス(欧州)
41資生堂157.3化粧・日用品日本(日本)
42BASF157.3化学ドイツ(欧州)
43アッヴィ156.9製薬米国(北米)
44SAP156.9ITドイツ(欧州)
45クラフト・ハインツ156.8食品米国(北米)
46ギリアド・サイエンシズ156.7製薬米国(北米)
47ユニリーバ156.2化粧・日用品オランダ(欧州)
48アラガン156.2製薬アイルランド(欧州)
49イーライ・リリー156.0製薬米国(北米)
50ファイザー155.7製薬米国(北米)

ユニリーバは英国とオランダの2本社制で、それぞれが決算情報を出しているため別会社として評価した。業種についてはQUICK・ファクトセットの分類を基に再構成した。

首位は米フェイスブック、2位以下に米アマゾン、米アルファベット(グーグル)、米アップルが続きIT(情報技術)大手が独占した。日本勢は11位にトヨタ自動車がランクイン。米国と技術の覇権を競う中国は9位にアリババ集団が入った。上位10社のうち9社が米企業。50位以内でみても23社がランクインするなど米企業の存在感が際立つ結果になった。日本勢は11位にトヨタ自動車が入り、33位に楽天、36位にソニー、41位に資生堂と4社がランクインした。台頭著しい中国勢は9位にアリババ集団が入り、50位以内に騰訊控股(テンセント)、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)、美的集団、京東集団(JDドットコム)と5社が入り、米企業と競い合う関係が浮き彫りになった。

アリババ、トヨタ上回る潜在力

  • トヨタ自動車
  • フェイスブック
  • アマゾン
  • アリババ集団
  • トヨタ自動車
  • フェイスブック

組織力

潜在力

価値創出力

80p

70

60

50

40

30

20

10

  • トヨタ自動車
  • アマゾン

組織力

潜在力

価値創出力

80p

70

60

50

40

30

20

10

  • トヨタ自動車
  • アリババ集団

組織力

潜在力

価値創出力

80p

70

60

50

40

30

20

10

トヨタ自動車は潜在力がフェイスブック並みだがイノベーションを生み出す組織力が低く、総合点を落とす要因になっている。アリババ集団は価値創出力が低いものの、潜在力はトヨタを上回る。各社が弱みを克服できるかどうかで、5~10年後の力関係が変わっている可能性がある。

取材・制作
新井重徳、清水明

イノベーション力とは


イノベーション力は「組織力」、「価値創出力」、「潜在力」で構成する。組織力は経営陣の多様性として外部取締役、女性取締役の割合、アイデア・柔軟性として役員の平均年齢、意思決定スピードとして役員人数の合計4要素で構成している。

価値創出力は時価総額と変化率、価値の獲得力として売上高に占める営業利益率と変化率、営業利益と変化率。市場開拓力として海外売上比率とその変化率の合計8要素で構成した。

潜在力は技術力への投資として研究開発投資と変化率。市場化への投資として販売管理費と変化率。製造への投資として設備投資と変化率の合計6要素で構成した。

分析には2018年3月期のデータを使い、変化率は5年前の13年3月期との比較で算出した。新規上場等でデータのない企業は14年3月期や15年3月期のデータから変化率を算出した。

指数開発には一橋大学イノベーション研究センターの青島矢一センター長、和泉章教授、江藤学教授、軽部大教授、清水洋教授、延岡健太郎教授(現大阪大学教授)、大山睦准教授、中島賢太郎准教授、カンビョンウ専任講師の協力を得た。

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