名前のつぶやき数

菅氏がリード

自民党総裁選

自民党総裁選に関するツイッターのつぶやきを分析したところ、菅義偉官房長官の名前への言及がリードしている。石破茂元幹事長が追い、岸田文雄政調会長は伸び悩む展開が続く。菅氏はインスタグラムのフォロワー数でも2氏を引き離し、多様なSNS(交流サイト)戦略が見て取れる。

分析1

「総裁選」の
ツイート数は?

安倍首相の
辞任表明後に急増

「総裁選」に
触れたツイート数

NTTデータの「なずきのおと」でツイッターのつぶやきを分析した。安倍晋三首相が辞任表明した8月28日から9月10日までで「総裁選」に触れたツイートは約126万件あった。菅氏が出馬表明した同月2日にピークを迎え、その後は低下したものの、8日の告示で再び増えた。
「総裁選」に触れたツイートと一緒に書かれた人名以外の言葉をみると、8月28日は6位に「辞任」、13位に「コロナ」が入った。新型コロナウイルス対策の行方を不安視する書き込みが多かったとみられる。中盤には総裁選の方式をめぐる書き込みが増え、9月1日の3位に「党員投票」、12位に「両院議員総会」が入った。告示日の8日は「不妊治療」と「保険適用」が13位で並んだ。菅氏が表明した不妊治療の保険適用拡大が注目を集めた。

分析2

各候補名の
ツイート数は?

2位争いは石破氏が
岸田氏より優勢

石破、菅、岸田3候補の
名前に触れたツイート数

「総裁選」に触れたツイートのうち3候補の名前に言及したツイート数は菅氏が約44万件。石破氏の約29万件、岸田氏の約10万件を上回った。つぶやかれた人名を見ていくと、首相が辞任表明した8月28日は「安倍晋三」が最多で「石破」「麻生」「菅」「岸田」の順番だった。菅氏の出馬検討が報じられた30日に「菅」がトップになり、その後は9月1日と6日を除き「菅」が最多だった。

分析3

フォロワー数は?

菅氏、
インスタで引き離す

石破、菅、岸田3候補の
ツイッターのフォロワー数
石破、菅、岸田3候補の
インスタグラムのフォロワー数

インスタグラムなどのフォロワー数はビッグデータ分析のユーザーローカルが開発したSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」で調べた。3氏のツイッターのフォロワー数でも菅氏が優勢だ。総裁選前からさかのぼってみると、2019年後半から増やし今春に石破氏を抜いた。19年後半に始めたインスタでも他の2候補を引き離す。

菅氏
特設インスタも

菅氏陣営はインスタに総裁選専用アカウントを設け、選挙中の写真や動画、菅氏がトランプ米大統領と撮った写真などをアップした。数で勝る支持議員のツイッターを生かし、菅氏のアカウントを拡散してフォロワーを増やす戦略をとる。

岸田氏
愛称「#キッシー」

岸田氏はツイートに愛称の「#キッシー」をつけ、親しみやすさを訴える。裕子夫人との家庭の様子を流したテレビ映像など自身のプライベートも積極的に発信する。支持者の応援メッセージを撮影した動画をツイッターで流している。

石破氏
県別の動画配信

石破氏は47都道府県別に各地域への思いを語る動画の配信を始めた。石破派の所属議員がツイッターで拡散に取り組む。一極集中是正を訴えるため、ネットでも地方重視の姿勢を鮮明にする。任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」の活用は断念したものの、多様な手段で自らの個性と政策を売り込もうとしている。

現時点で最も総裁選ツイートが多かったのは菅氏が出馬表明して3氏の構図が事実上固まった9月2日である。その後の1週間は落ち着いた動きが続いてきた。政策に関するつぶやきは限られている。
ネット選挙に詳しい東京工業大の西田亮介准教授は「3人とも日常的に自らSNSで発信するタイプではない。3人とも政策論争より世論に寄り添う姿勢を重視している」との見方を示す。