THE
NOBEL
PRIZE

ノーベル賞 2022年ノーベル賞
栄冠は誰に


2022年のノーベル賞の発表が10月3日から始まった。21年は真鍋淑郎氏が物理学賞を受賞したが、22年は日本出身者の受賞はなかった。受賞に期待が集まった候補の研究者や作家たちを紹介する。

(年齢は2022年9月30日時点)

生理学・医学賞

人体の仕組みや病気の治療法などの開発で貢献した人をたたえる

10月3日に発表済み。受賞したのはドイツのマックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ教授。授賞理由は「絶滅したヒトのゲノムと人類の進化に関する発見」。写真はすべて共同

森和俊

もり 和俊かずとし

年齢
64
京都大学教授

研究概要

細胞の器官「小胞体」の知られざる働きを解明、様々な疾病の治療に貢献

満屋裕明

満屋みつや 裕明ひろあき

年齢
72
国立国際医療研究センター研究所長

研究概要

エイズウイルスの増殖を妨げる物質を次々に発見、エイズ治療のパイオニアに

坂口志文

坂口さかぐち 志文しもん

年齢
71
大阪大学特任教授

研究概要

細菌やウイルス退治に欠かせない免疫機能で新たな細胞を発見

遠藤章

遠藤えんどう あきら

年齢
88
東京農工大学特別栄誉教授

研究概要

コレステロールを低下させる物質を発見、心臓病などの死亡から患者を救う

長田ながた 重一しげかず

年齢
73
大阪大学特任教授

研究概要

プログラムされたかのように細胞が自殺する仕組みを解明し、新しい治療法に道

松村まつむら 保広やすひろ

年齢
67
国立がん研究センター 研究所 客員研究員

研究概要

がん細胞に大きな分子が集まる仕組みを解明し、狙い通りに薬を届ける技術に道

小川おがわ 誠二せいじ

年齢
88
東北福祉大学特別栄誉教授

研究概要

脳と心の関係調べる研究に光

岸本きしもと 忠三ただみつ

年齢
83
大阪大学元学長

平野ひらの 俊夫としお

年齢
75
量子科学技術研究開発機構理事長

研究概要

関節リウマチなどの炎症を起こすタンパク質を発見


物理学賞

宇宙の成り立ちや物性など自然法則の解明に迫る成果を賞する

10月4日に発表済み。受賞したのはフランスのエコール・ポリテクニークのアラン・アスペ教授、米カリフォルニア大学バークレー校などで研究に励んだジョン・クラウザー博士、オーストリア・ウィーン大学のアントン・ツァイリンガー教授の3氏。量子力学理論の発展に貢献し、量子コンピューターなど量子技術の革新の土台を築いた業績が評価された。中村氏を除く写真は共同

細野ほその 秀雄ひでお

年齢
69
東京工業大学栄誉教授

研究概要

ありふれた素材使い高精細で消費電力少ないディスプレーなどを実現

大野おおの 英男ひでお

年齢
67
東北大学長

研究概要

磁石の性質を持つ省電力半導体の基礎研究に尽力

十倉とくら 好紀よしのり

年齢
68
理化学研究所創発物性科学研究センター長

研究概要

電気と磁気両方の特性持った新物質を発見、次世代メモリー開発に道

佐川さがわ 真人まさと

年齢
79
大同特殊鋼顧問

研究概要

モーターの力を驚異的に高める磁石を発明、ハイブリッド車からハードディスクまで採用広がる

中村なかむら 泰信やすのぶ

年齢
54
理化学研究所量子コンピュータ研究センター長

研究概要

現在のコンピューターの限界を打ち破る可能性のある次世代の計算機「量子コンピューター」の開発に貢献


化学賞

物質を作る分子や化学合成などの発見、応用に道を開いた業績を賞する

10月5日に発表済み。受賞したのは米スタンフォード大学のキャロライン・ベルトッツィ氏、デンマーク・コペンハーゲン大学のモーテン・メルダル氏、米スクリプス研究所のバリー・シャープレス氏の3氏。複雑な分子を簡単に合成できる手法「クリック・ケミストリー」の基礎を築き、医薬品開発などの促進に寄与する成果が評価された。宮坂氏を除く写真は共同

藤田ふじた まこと

年齢
65
東京大学卓越教授

研究概要

勝手に集まる分子の現象から新技術を開発、食品科学などの発展に貢献

北川きたがわ すすむ

年齢
71
京都大学特別教授

研究概要

狙った分子を取り込む新素材の開発に貢献

宮坂みやさか つとむ

年齢
69
桐蔭横浜大学特任教授

研究概要

薄くて軽い新型の太陽電池「ペロブスカイト型」を発明

沢本さわもと 光男みつお

年齢
70
中部大学教授

研究概要

分子をつなげる新技術開発で物質の未知の力引き出す

国武くにたけ 豊喜とよき

年齢
86
九州大学特別主幹教授

研究概要

生物の機能そっくりの人工物合成に成功、もの作りの省エネ化に道

藤嶋ふじしま あきら

年齢
80
東京理科大学栄誉教授

研究概要

光で汚れをきれいにする光触媒技術を開発、浄化に新風

しん 建仁けんじん

年齢
60
岡山大学教授

研究概要

200年にわたる植物の光合成の謎を解き明かす

森和俊

カタリン ・カリコ

年齢
67
米ペンシルベニア大学医学部客員教授、独ビオンテック上級副社長

研究概要

メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの実現につながる基礎研究


文学賞

理念をもって創作し、最も傑出した作品を生み出した人をたたえる

10月6日に発表済み。受賞したのはフランスの作家、アニー・エルノーさん。授賞理由には「個人的な記憶のルーツや疎外感、集団的抑圧を明らかにする勇気と鋭さ」が挙げられた。主な作品に「場所」「シンプルな情熱」「戸外の日記」など。

村上むらかみ 春樹はるき

年齢
73
日本

こんな人

言わずと知れたベストセラー作家。作品は50以上の国・地域で翻訳出版され、2006年にフランツ・カフカ賞を受賞。今年はフランスのチノ・デルドゥカ世界文学賞を受賞した

多和田たわだ 葉子ようこ

年齢
62
日本

こんな人

大学を卒業後、ドイツに移住。日独双方の言葉で詩や小説を発表し、1993年に芥川賞受賞。世界を旅しながら執筆する

小川おがわ 洋子ようこ

年齢
60
日本

こんな人

1991年に「妊娠カレンダー」で芥川賞。「博士の愛した数式」は読売文学賞、本屋大賞を受賞しベストセラーに

マーガレット・
アトウッド

年齢
82
カナダ

こんな人

カナダの代表的作家。トロント大、米ハーバード大院などで英文学を学び、詩人、評論家としても活動。写真はロイター

グギ・ワ・ジオンゴ

年齢
84
ケニア

こんな人

植民地下のケニア生まれ。英語で小説の執筆を始めたが、1970年代からは民族語のギクユ語で作品を書く。写真は共同

マリーズ・コンデ

年齢
85
フランス海外県グアドループ

こんな人

カリブ海のフランス海外県グアドループに生まれ、パリで教育を受けた後アフリカにわたる。戯曲や児童文学も執筆。写真はゲッティ共同

リュドミラ・ウリツカヤ

年齢
79
ロシア

こんな人

旧ソ連バシキール自治共和国生まれ。モスクワ大学では遺伝学を専攻した。現代のロシア文学を代表する一人

余華よか

年齢
62
中国

こんな人

中国・杭州生まれで、幼少期に文化大革命を経験。父は医師、母は看護師で、歯科医のかたわら執筆活動をはじめた

閻連科えんれんか

年齢
64
中国

こんな人

河南省の貧しい農村に生まれ、20歳で人民解放軍に入隊。中国社会の問題点を鋭く描き、中国本土では発禁や増刷禁止の本も多い


経済学賞

経済学の発展や拡充につながる研究で卓越した業績を賞する

10月10日に発表済み。受賞したのは米連邦準備理事会(FRB)元議長のベン・バーナンキ氏、米ワシントン大学のフィリップ・ディビッグ氏、米シカゴ大学のダグラス・ダイアモンド氏の3氏。授賞理由は「金融危機における銀行の役割」。

清滝きよたき 信宏のぶひろ

年齢
67
米プリンストン大学教授

研究概要

金融危機が景気低迷につながるメカニズムを解明、銀行が企業にお金を貸す際の「担保」に注目した