やはり売れていた POSデータでみえた
非常時の食品消費


新型コロナウイルスの感染拡大で突如発表された小中高校の休校要請後、食品消費の波に変化が起きた。 スーパーやコンビニエンスストアなど約1500店の商品の売れ行きが分かる日経POSのデータから非常時の消費動向を「見える化」した。

簡単調理・長期保存の食品、
売れ行き急増

POSデータから浮かび上がるのは2月27日に政府が小中高校の休校要請を発表したことで、非常時に入るとみた消費者の行動だ。翌日の28日、29日には即席白飯(炊き上がったパックご飯)や冷凍食品の販売額が跳ね上がった。日持ちするうえ、電子レンジなどで簡単に調理できるとあって在宅勤務者や子どもを持つ共働き家庭が買い求めた。

即席白飯

千人あたり金額(円)

子どもでも炊飯の手間が不要ですぐに食べられる即席白飯・無菌包装白飯。2月28、29日の平均販売額は両日を除く2月の平均に比べ1.8倍に増えた。

うるち米

千人あたり金額(円)

冷凍総菜

  • 冷凍餃子
  • 冷凍グラタン
  • 冷凍ピザ
  • 冷凍ピラフ

千人あたり金額(円)

長期保存がきく冷凍総菜も購買意欲が盛り上がった。2月28、29日の平均販売額は1週間前に比べギョーザが36%、グラタンが80%、チャーハン・ピラフが50%増と高い伸びを示した。

パスタソースは2倍以上に

手軽に調理できるパスタソース類や小学生でも作れるカップ麺も2月27、28日は1週間前と比べ軒並み6割以上高い販売を記録した。ウインナーソーセージは調理に一手間かかるとあってか相対的に伸び率は低かった。

即席麺

  • 即席カップ焼きそば
  • 即席カップ中華そば
  • 即席カップうどん

千人あたり金額(円)

子どもでも手軽に作れる即席カップ麺は2月28、29日の中華そばの平均販売額が1週間前に比べ63%に増加。うどんや焼きそばでも大きな山ができた。

ソーセージ

千人あたり金額(円)

ウインナーソーセージの2月28、29日の平均販売額は1週間前に比べ29%増にとどまった。

パスタソース

  • パスタソースミックス・ソース
  • レトルトパスタソース
  • パスタ缶詰

千人あたり金額(円)

面倒な調理がいらないパスタソース類も2月28、29日の平均販売額が両日を除く2月の平均に比べ2.3〜2.4倍に跳ね上がり、在宅勤務者や共働き世帯の人気を集めた。

3月2日以降は沈静化

首都圏の食品スーパーいなげやでは2月29日~3月1日に、レトルトなど加工食品や日用雑貨の販売が同社の計画比で3~4割増となった。
ただ、土日休みを過ぎた2日以降は在庫が店頭に並び沈静化してきた。実際に3月8日に記者が新宿区内の大手スーパーを訪ねると、マスクや紙製品の売り場にまだ空きがあったが、即席めんやレトルト食品は店頭に並んでいた。
即席めんなどのメーカーでつくる日本即席食品工業協会は「需要を満たす十分な在庫と供給を確保している。安心して落ち着いた行動をお願いしたい」と呼びかけている。