2月9日に韓国で開幕する平昌(ピョンチャン)冬季五輪。メダル争いや競技のスピード感、開催地の横顔をデータで追った。

増えた演技系、
初の100種目超え

30年で2倍以上、
56種目増えた

種目

102種目

30年前と比べると・・・

30年前と比べると・・・

ちょうど30年前、1988年のカルガリー五輪と比べると、平昌五輪の種目数は2倍以上になった。今回加わったのは、ジャンプ台から飛び出して空中の演技を競うスノーボードのビッグエア(男・女)、大勢の選手が一斉スタートするスピードスケートのマススタート(男・女)、カーリング混合ダブルス、アルペンスキー混合団体の計6種目。種目数は初めて100を超え、102となった。

近年は、テレビ視聴者を意識して華やかさやドキドキ感を味わえる競技が増えた。フリースタイルスキーとショートトラックは92年のアルベールビル五輪、スノーボードは98年の長野五輪で登場。平昌五輪で加わるビッグエアは若者に人気の種目だ。

ツイッターで盛り上がる
アイスホッケー

ソチ五輪でツイートが
多かった競技

ソチ五輪でツイートが
多かった競技

ツイッターで最も
盛り上がった国は?

ツイッターで最も
盛り上がった国は?

(注)人口100万人あたりのツイート数。ツイッター調べ

ツイッターで声援を送る人も増えた。米ツイッター社の日本法人によると、2014年のソチ五輪期間中、オリンピックに関連する投稿は全世界で4000万件を超えた。最も話題になった競技はアイスホッケーで、2位はカーリング。アイスホッケーは、男子予選リーグで米国がロシアに勝った瞬間に投稿数が急増した。

ツイッターで最も盛り上がった国を人口100万人あたりのツイート数で見ると、1位は韓国、2位がロシア、3位に日本。日本ではフィギュアスケートの浅田真央選手、韓国では浅田選手のライバル、キム・ヨナ選手を応援する投稿が目立った。

リュージュは寝たまま
時速150キロ

スピード自慢は?

雪や氷の上を勢いよく滑走するスピード感。これが冬季五輪の醍醐味だ。陸上では人類最速の男、ウサイン・ボルト選手の時速が約45キロ。一方、あおむけに寝たまま滑るリュージュの最高時速は150キロになり、プロ野球の投手の剛速球並みだ。

スキージャンプのラージヒルでは、踏み切る位置と着地点の距離が140メートルにもなり、時速100キロ近くで踏み切る。高速に耐えられる技術と体力を身につけているところが五輪選手のすごさだ。

メダル、北欧・北米勢で
4割奪取

冬季五輪メダル数

金メダル

銀メダル

銅メダル

ドイツは第2次世界大戦前と1992年以降の数字。西ドイツは1952年と1968~88年、東ドイツは1968年~88年。ソ連は1988年まで。
データ出典 IOC

冬季五輪の第1回大会(1924年のシャモニー五輪)以降、最もメダルを獲得した国はノルウェーで、金、銀、銅合わせて334個。フィンランドとスウェーデンを合わせた北欧勢と米国・カナダの北米勢を合わせると、全体の4割のメダルをとっている。

メダルをとる種目にもお国柄がある。オランダが獲得した107個のメダルのうち102個はスピードスケート。中国と韓国はスケートのショートトラックが強く、韓国は53個のうち42個、中国は53個のうち30個がショートトラックのメダルだ。

冬季五輪、日本の
種目別メダル数

金メダル

銀メダル

銅メダル

日本が冬季五輪でとった45個のメダルのうち、最も多いのはスピードスケートの15個。日本のお家芸といわれる短距離を中心に、これまで金1個、銀5個、銅9個を獲得した。次いでスキージャンプ(11個)、フィギュアスケート(5個)、ノルディック複合(4個)が続く。

金メダルが最も多いのはスキージャンプ。1972年の札幌五輪、1998年の長野五輪で計3個をとった。近年奮闘しているのがフィギュアスケートだ。2014年のソチ五輪で金、10年バンクーバー五輪で銀と銅、06年トリノ五輪で金を獲得した。

放映権料、冬は
夏の半分以下

冬季五輪

百万ドル

12 8900 万ドル

夏季五輪

百万ドル

28 6800 万ドル

国際オリンピック委員会(IOC)の大きな収入源のひとつ、放映権料が増え続けている。ソチ五輪はバンクーバーとほぼ同額の約12億ドル。1972年に開かれた札幌大会(800万ドル)の151倍だ。一方、夏季五輪と比べるとソチはリオ(28億ドル)の半分にも満たない。スマートフォン(スマホ)利用者の拡大で視聴者は増え続けているが、冬季五輪は夏季五輪に比べ競技人口や参加国が少なく、注目度が低いため放映権料は抑えられている。

海外ではテレビ局が放映権を購入するケースがあるが、日本ではNHKと日本民間放送連盟で構成するジャパンコンソーシアムが購入。平昌と東京の2大会の合計で660億円だった。

五輪の開催費用、
ソチが突出

近年の冬季五輪の開催費用

億米ドル

(注)平昌五輪は2017年3月時点(2018年1月時点の米ドルに換算)。その他はBent Flyvbjergら「The Oxford Olympics Study 2016: Cost and Cost Overrun at the Games」をもとに作成

これまでの冬季五輪の開催費用は、2014年のソチ五輪が約220億米ドルと突出している。ロシアにとって初の冬季五輪開催だったうえ、ソチには既存施設がなく、ゼロから整備したためだ。平昌五輪の開催費用は、同組織委員会が2017年3月に、約2.8兆ウォン(2018年1月22日時点のレートで、約26億米ドル)になると明らかにしている。

五輪は開催国の魅力や発展ぶりをアピールする絶好の機会。このため開催費用は膨らみがちだが、最近では多額の負担を嫌い、五輪の立候補を辞退する都市も相次いでいる。

取材・制作
大島裕子、久能弘嗣、今村大介、斎藤公也、山内菜穂子、鈴木洋介

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