BRAVE
BLOSSOMS

初の8強入り
ラグビー日本代表

ラグビー日本代表は多様性の象徴である。身長約2メートルの長身選手がいれば、160センチ台の小兵もいる。力自慢の巨漢がいれば、華麗に相手を抜き去る快足選手もいる。今回のチームは7カ国にルーツを持つ男たちが集う、文化のるつぼでもある。それぞれの個性、人格を桜のジャージーに融合させ、世界の強豪に挑む。
*データはW杯開幕時

MEMBER

稲垣 啓太

稲垣
 啓太

Keita Inagaki

POSITION

左PR

SPEC

年齢29
身長186cm
体重116kg
キャップ数29
現所属パナソニック
出身校新潟工業高−関東学院大
出身地新潟
W杯出場歴2015年
ポジション左プロップ

ポジション

FWの枠を超えた運動量を誇る。スクラムも大きく成長。ラグビー理解度が高いリーダー

動きの量、思考の量で稲垣にかなう選手はそういない。スクラムが終われば即座にダッシュ。タックルにボールキャリーにと矢継ぎ早に任務をこなす。その仕事量から116キロという体重をイメージするのは難しい。仕事の「質」も高い。昨年のロシア戦ではタックル20回を全て成功させる離れ業をなし遂げた。スクラムも強く、トップリーグでは新人の年から6年連続でベスト15に選ばれている。
フル回転する脚や腕と同じくらい、稲垣が働かせるのが頭と耳、口である。プロップは密集に入っていることも多く、外の状況が分からないことがある。そんな時も稲垣は味方からの声を耳で拾い集め、頭の中に防御ラインを再現。さらに味方に的確な言葉でどこを守るべきかを指示できる。その才を見込まれ、チームでは防御担当のリーダーも拝命。ピッチ外でも組織守備の向上に知恵を凝らす。
頭脳派の横顔は幼少時からのものだ。「試合までにちゃんと準備するスタイルは小学校から変わらない」。W杯でもその思考力は日本の守備を堅くするだろう。

堀江 翔太

堀江
 翔太

Shota Horie

POSITION

HO

SPEC

年齢33
身長180cm
体重104kg
キャップ数61
現所属パナソニック
出身校島本高−帝京大
出身地大阪
W杯出場歴2011、15年
ポジションフッカー

ポジション

大黒柱の1人。フッカーの本業に加えパス、ランの技術も高い。組織守備でも司令塔

スクラムの最前列に入り、細かい駆け引きを指示。ラインアウトではボールの投入役を務める。肉弾戦の技術も高く、相手の芯をずらして前進できる。背中越しの片手パスやゴロキックなど、バックス顔負けのボールさばきも併せ持つ。
自慢のドレッドヘアで飾られた「頭」も大きな武器だ。抜群の戦術眼を持ち、相手の監視がおろそかな間隙でパスを呼び込み、突破する。守備に回っても的確な指示で防御ラインを修復できる。ピッチにいるだけでチーム力を高めてくれる存在である。
W杯は3大会連続出場となる。全敗に終わった2011年大会の2年後、雪辱を期してオーストラリアのレベルズに加入。田中史朗とともに日本人で初めてスーパーラグビーの舞台に上がり、腕を磨いてきた。前回大会でも躍進の主役の一人だった。日本のラグビー史に残る名選手だが、「代表は今大会で引退かもしれない」。集大成の覚悟で今大会に臨む。

具 智元


 智元

Jiwon KOO

POSITION

右PR

SPEC

年齢25
身長183cm
体重122kg
キャップ数8
現所属ホンダ
出身校日本文理大学付属高−拓殖大
出身地韓国
W杯出場歴-
ポジション右プロップ

ポジション

元韓国代表で「アジア最強」と言われた父譲りのスクラム。タックルや突進力も優れる

「アジア最強のプロップ」と呼ばれた父・東春さん譲りのスクラムが最大の武器だ。122キロの体は大きいだけでなく芯が強く、姿勢が崩れにくい。そのパワーは強力なタックルや突進にも生かされる。メリハリの利いたプレーも得意で、試合中に加速する回数は代表のFWでもトップを誇る。
穏やかな性格と少年のような笑みで、チームでは「ぐー君」の愛称で親しまれる。痛みを口にしない性格からつい無理をしてしまい、ケガが多いことだけが玉にきずだが、万全なら先発のジャージーを着る可能性が高い。
中学2年で来日したのは「ラグビーをやるならレベルの高い日本がいい」という父の勧めだった。大分県の中学、高校でプレーしながら電話で毎日、父からスクラムの英才教育を受けた。
桜のジャージーを着てW杯でプレーすることは、19年大会の日本開催が決まった時からの夢だった。「自分がW杯に出て活躍することで日韓関係が良くなるとしたらうれしい」と目を輝かせている。

トンプソン・ルーク

トンプソン・
 ルーク

Luke THOMPSON

POSITION

LO

SPEC

年齢38
身長196cm
体重110kg
キャップ数67
現所属近鉄
出身校リンカーン大
出身地ニュージーランド
W杯出場歴2007、11、15年
ポジションロック

ポジション

体を張ったプレーでチームを引っ張る自称「おじいちゃん」

日本代表最年長の38歳で、自称「おじいちゃん」。だが、ロックとして体を張ったプレーでチームを引っ張る。リーチ主将も「ジャージーを着たらすべてをささげて戦う文化をチームに残してくれた人」と「トモさん」を絶賛する。
ニュージーランド出身で日本に帰化。3大会連続出場だった前回2015年大会を最後に代表から身を引く。2年前にけが人の穴を埋めるためにテストマッチに出場したことはあるものの、代表復帰は否定。昨季限りでのラグビーからの引退も決めていたという。
だが昨年6月、日本対イタリア戦をテレビ観戦中、前のめりになっているトンプソンの姿を見かねた妻が声をかけた。「まだやりたいの? もしやりたいなら応援するわ」。胸の奥に残っていたおき火に炭がくべられ、現役を続行。今年2月、サンウルブズに初招集され、6月には代表合宿へ。パシフィック・ネーションズカップでは1、2戦目にフル出場した。「もちろん出たい」と言っていた4回目のW杯。愛する日本での大会に向け、情熱の炎はかつてないほど燃え上がっている。

ヘル・ウベ

ヘル・
 ウベ

Uwe Helu

POSITION

LO

SPEC

年齢29
身長193cm
体重113kg
キャップ数14
現所属ヤマハ発動機
出身校セントトーマスカンタベリー高−拓殖大
出身地トンガ
W杯出場歴-
ポジションロック

ポジション

ボールを持って前に出る馬力はチーム屈指。命懸けのプレーで近場の攻撃の中心に

ボールを持って前に出る力はチーム屈指。タックルも強烈で、ゴール前での攻防で中核となる。先発はもちろん、後半から出れば、チームに勢いをもたらすことができる。
トンガ出身。家族に負担をかけないよう、経済的に自立したいと拓殖大への留学を決めたことが転機となった。激しいプレーや真面目な人間性で信頼を得ると、主将を任されるまでになった。FWの力勝負にこだわるヤマハ発動機に入ったことで、スクラムやモールといった集団プレーの技術も磨かれた。
2016年に代表デビュー。「生まれたのはトンガだが、新しい人生を始めたのは日本。この国を背負って戦うつもりだし、試合に出る時は全てを出し尽くす気持ちでやっている」と言い切る。
 試合前、大学時代に知り合った日本人の妻に必ずメールを送る。「自分に万が一、何かがあった時、最後に残した言葉がI love youであるようにね」。その笑顔には、命懸けで戦う覚悟と優しさがにじむ。

ビンピー・ファンデルバルト

ビンピー・
ファンデルバルト

Wimpie Van Der Walt

POSITION

LO,FL

SPEC

年齢30
身長188cm
体重106kg
キャップ数12
現所属NTTドコモ
出身校ネルスプロイト高
出身地南アフリカ
W杯出場歴-
ポジションロック、フランカー

ポジション

LOとしては背が低いが、タックルや密集戦で常に骨惜しみしない働きを見せる

空中戦の核となるロックで身長188センチは高くはない。その不利を得意の機動力や献身性でカバーする。体格とパワーに優れた南アフリカの出身ではあるが、実に日本代表らしいロックと言える。それもそのはずで、南ア時代はナンバーエイトが本職だった。ラインアウトのジャンパーの仕事は、来日後に習得したものだ。
「子供の時から日本代表のプレーを見るのが好きで、ジャージーもかっこいいと思っていた」という変わり種でもあった。ひいきの国からのオファーが届いたのは2013年。実際に触れてみて、好意はすぐ愛に変わった。「最初のシーズンを終えて、日本の文化に非常に感銘を受けて、日本代表になろうと思った」。年内に帰化申請をする予定で、語学の勉強にも一層励んでいる。
17年に代表デビューを果たして以降、ジョセフHCの信頼も厚い。W杯では先発の機会がありそうだ。もともとのポジション、FW第3列を高いレベルでこなせるのもチームにはありがたい。「好きなプレーはタックル」と、こちらも日本のロックらしい受け答え。本番でも骨惜しみしないプレーで、FWの屋台骨を支えるだろう。

リーチ・マイケル

リーチ・
 マイケル

Michael Leitch

POSITION

FL

SPEC

年齢30
身長190cm
体重110kg
キャップ数63
現所属東芝
出身校札幌山の手高−東海大
出身地ニュージーランド
W杯出場歴2011、15年
ポジションフランカー

ポジション

2大会連続の主将。プレーと人間性で引っ張るリーダー。運動量にタックル、ランと万能型

前回大会に引き続き、日本を率いるキャプテン。背中で、言葉で、自国開催の祭典に臨むチームを引っ張る。
最大の武器は無尽蔵の運動量と、豊富な経験に裏付けされたプレーの的確さ。ボールを持てば母の出身地、フィジーの選手をほうふつさせるしなやかなランで駆ける。ラインアウトでも長い手を生かし、相手ボールを奪い取る。
ピッチの外では「人のことを気にしすぎるくらい気にする」と同僚が言うほど細やかな感性の持ち主。夏以降、海外出身選手や日本という国の歴史を仲間に語る場をつくり、チームの一体感の再強化に努めてきた。一方で前回W杯の南アフリカ戦、ラストプレーでコーチ陣の指示を退けてスクラムを選択したように決断力も併せ持つ。
ニュージーランドから15歳で来日した時は体重76キロの痩せすぎで、対戦相手の留学生にたたきのめされた。それから15年。今では「日本で育ったラグビー選手」という自負を持つ。「日本の選手は強いとW杯で見せたい」と誓っている。

姫野 和樹

姫野
 和樹

Kazuki Himeno

POSITION

No.8,LO

SPEC

年齢25
身長187cm
体重108kg
キャップ数12
現所属トヨタ自動車
出身校春日丘高−帝京大
出身地愛知
W杯出場歴-
ポジションナンバーエイト、ロック、フランカー

ポジション

17年の代表入り後、すぐ主力格になった出世頭。外国人並みの突破力とボール奪取

姫野のような日本出身の選手は過去にほとんどいなかった。海外の猛者が相手でも力勝負で圧倒できる。187センチ、108キロの体格は国際舞台では平凡だが、バーベルを胸から挙げるベンチプレスの記録は170キロ。代表でも1、2を争う数字だ。そのパワーが存分に発揮されるのが「姫野スペシャル」と呼べそうな技。ボールを持って突進している時、タックルされても瞬時に立ち上がって再前進する。接点で勝っているからこそ可能なプレーだ。
代表デビューは2年前。その後の成長は特筆ものである。密集戦での技術も向上し、ボールを奪う力は今やチーム屈指。トヨタ自動車で新人ながら主将を務めたのも大きかった。時には涙しながら重圧に耐え、練習から誰よりも体を張り、周囲の信頼を勝ち得た。今は代表でもリーダー陣の一人である。
ラグビーに打ち込むようになったのは「人を吹っ飛ばすのが純粋に楽しかった」から。「W杯でもラグビーの醍醐味のコンタクトプレーを率先してやりたい」。そのパワーを世界に見せる時が来た。

ピーター・ラブスカフニ

ピーター・
 ラブスカフニ

Pieter Labuschagne

POSITION

FL

SPEC

年齢30
身長189cm
体重105kg
キャップ数3
現所属クボタ
出身校フリーステート大
出身地南アフリカ
W杯出場歴-
ポジションフランカー

ポジション

密集戦でのボール奪取やタックルが得意。きまじめさがにじみ出る優秀なリーダー

タックルしてもすぐ起き上がり、また密集に突っ込む。生来のきまじめさがにじみ出たようなハードワークが持ち味の、南アフリカ出身のフランカーだ。2016年にトップリーグのクボタに加入し、日本で必要なプレー経験最短の3年で代表の座を射止めた。
スーパーラグビーのブルズでプレーしていた時、日本行きの声がかかる。15年W杯での日本の南ア戦勝利をテレビで生で見ていたことも、背中を押したようだ。「最後のスクラム選択に感銘を受けた。勇気を持った行動が日本の文化だと感じた」
「日本人は忠誠心があり勤勉だと聞いていたが、来日して噂以上だった」と話す当人こそ、まじめそのもの。食事会場でいすを片付けるなどの態度に、リーダーとしての資質を見抜いた首脳陣がウルフパックの試合でゲーム主将に抜てき。主将のリーチも「痛いプレーも嫌がらない。いつも落ち着いて優しく言ってくれる」とそのリーダーシップを評価する。
気配りは報道陣にも分け隔てない。取材を受けた後、必ず「アリガトウゴザイマス」と頭を下げる。

アナマキ・レレイ・マフィ

アナマキ・
 レレイ・マフィ

Amanaki Lelei Mafi

POSITION

No.8

SPEC

年齢29
身長189cm
体重112kg
キャップ数25
現所属NTTコミュニケーションズ
出身校トンガカレッジ−花園大
出身地トンガ
W杯出場歴2015年
ポジションナンバーエイト

ポジション

世界でも有数の突破力を誇る。タックルも強力。体調が整えば唯一無二の武器に

日本代表前HCエディー・ジョーンズ氏が、「フィジカルモンスター」と呼んだナンバーエイトのパワーは健在だ。ボールを持って走りながら、相手を蹴散らす突破力は代表随一だろう。
前回2015年W杯での活躍で世界に名を売り、イングランドのプレミアリーグ、南半球のスーパーラグビー(SR)でもプレーした。この4年間、フィットネスの向上に加え、「世界のいろんなコーチが教えてくれて、スキルがもっと広がった」と手応えを語る。
トンガ出身。花園大学へラグビー留学し、トップリーグのNTTコミュニケーションズでのプレーが認められて日本代表に。憧れていた母国からの誘いを断らざるを得ず「めちゃ悲しかった」。だが今はジャパン愛を公言し、「日本を選んで良かった」と強調する。
昨夏、SRの同僚選手を暴行した疑いで拘束され、一時謹慎。事件の決着はついていないが、2度目のW杯でできることは、プレーによって雑音を封じることだろう。「(前回は南アフリカを破り)歴史は作りました。今回は新しい歴史を作りたい」と固く誓う。

流 大


 大

Yutaka Nagare

POSITION

SH

SPEC

年齢27
身長166cm
体重71kg
キャップ数19
現所属サントリー
出身校荒尾高−帝京大
出身地福岡
W杯出場歴-
ポジションスクラムハーフ

ポジション

球出しの速さやキック力が強み。コミュニケーション能力も高く、組織守備でも活躍

チームに欠かせないリーダーである。練習では誰よりも大きな声を出して周囲を鼓舞し、苦しい練習でも先頭に立って走る。地域との交流イベントなど、グラウンド外の活動でも中心となり、チームの一体感を高めることに腐心する。
プレー以外でも率先して汗をかくのは、チームをまとめる役割の苦労を知るからだ。帝京大やサントリーでも主将を務め、苦悩した時期もあった。「キャプテンは思っている以上にストレスがたまる。そういうストレスをリーチさんにできるだけかけたくない」。誰もが未体験の自国開催のW杯。リーチ・マイケル主将の負担を軽減しようとの気遣いがある。
もちろん選手としても実力者。日本のSHに欠かせない、球さばきの速さがあり、裏のスペースに転がすキックも精度が高い。よく通る大きな声で試合中に的確な指示を出すこともできる。SHは層の厚いポジションだが、グラウンドの内外で重要な役割を果たすことになるだろう。

茂野 海人

茂野
 海人

Kaito Shigeno

POSITION

SH

SPEC

年齢28
身長170cm
体重75kg
キャップ数10
現所属トヨタ自動車
出身校江の川高−大東文化大
出身地大阪
W杯出場歴-
ポジションスクラムハーフ

ポジション

密集際を突く強気のランが光る。球出しのテンポも速く、潜在能力が高い

田中史朗、流大に続く「第3の男」からはい上がってきたSH。春の強化試合には呼ばれていなかったが、サンウルブズで今季9試合に出場し、経験値を積んで一気に評価を上げた。スペースを見つけて自ら仕掛けていく強気のランが持ち味。一貫性のあるプレーを心がけているうちにゲーム理解が深まってきた。
兄の影響で小学3年から競技を始め、NEC時代の2015年にニュージーランドへ留学。オークランド代表に選出されたこともある。16年のカナダ戦で日本代表デビュー。その年のスコットランド戦でのトライが国際統括団体「ワールドラグビー」の年間最高トライ賞の候補に選出された。17年シーズンはトヨタ自動車への移籍を巡るトラブルで公式戦に出場できない憂き目に遭ったが、満を持してW杯初出場を手繰り寄せた。
NEC時代に一緒にハーフ団を形成していたSO田村優は「代表で遠慮せずに力を出せるようになった」と評する。SHの先輩たちとは違う味を出して世界と勝負する。

田中 史朗

田中
 史朗

Fumiaki Tanaka

POSITION

SH

SPEC

年齢34
身長166cm
体重72kg
キャップ数70
現所属キヤノン
出身校伏見工業高−京都産業大
出身地京都
W杯出場歴2011、15年
ポジションスクラムハーフ

ポジション

酸いも甘いも知るバックス最年長。判断力や駆け引き、仲間への発信力が高いゲームメーカー

チーム最多の代表戦出場回数を誇るベテラン。球さばきのテンポは他のSHより緩やかだが、緩急の付け方や判断力は頭一つ抜けている。審判に反則をアピールするうまさなど、酸いも甘いもかみ分けた老練さも見せる。先発で堅実に試合をつくることも、終盤の勝負どころで登場し、重圧の中で試合を締めることもできる。
初めてW杯の舞台を踏んだ2011年。1勝もできず「ラグビー人気を下げてしまった」と涙した。屈辱を糧に海外に挑戦。13年、堀江翔太とともに日本人初のスーパーラグビー選手となった。15年にはNZのハイランダーズで優勝も経験した。
いたずら好きで、海外出身の選手をよく笑わせてチームのムードメーカー的な役割も担う。ただ、前回のW杯の直前には嫌われ役を買って出た。練習中の肉弾戦で手加減しているとみた選手に怒声を浴びせたこともある。今は一転、落ち着いたもの。年齢のせいだけではない。ハイランダーズ時代からともに戦うジョセフHC、ブラウンコーチに全幅の信頼を置いているから。集大成のW杯には、自然体で臨む。

田村 優

田村
 優

Yu Tamura

POSITION

SO

SPEC

年齢30
身長181cm
体重92kg
キャップ数58
現所属キヤノン
出身校国学院栃木高−明治大
出身地愛知
W杯出場歴2015年
ポジションスタンドオフ

ポジション

パス、キックの技術、状況判断は国内一。天才肌で、好調時には正確なプレーを連発

キックを多用して陣形が崩れた状態から仕掛けていくジョセフHCの戦術をグラウンドで表現する司令塔。相手の裏をつくキックか、スペースを突くランか、素早いパスか。瞬時の判断力が問われる場面で最善のプレーを選択して周りを動かす天才肌の選手だ。スキルの高さは国内トップ。前回大会で注目された五郎丸歩の後を継ぐプレースキッカーでもあり、初の8強入りを目指すチームの命運を握る。以前は精彩を欠く試合も多かったが、好不調の波が大きい課題は改善され、80分間集中力を切らさない体力と精度を手にした。
中学時代はサッカーに熱を入れ、ラグビーを始めたのは国学院栃木高に進学してから。明大では1年生から頭角を現し、NEC時代の2012年に日本代表初キャップ。4年前のイングランド大会では歴史的勝利を挙げた南アフリカ戦で途中出場し、スコットランド戦ではCTBとして先発メンバー入りしている。選手として成熟の時を迎え、2度目のW杯に挑む。

福岡 堅樹

福岡
 堅樹

Kenki Fukuoka

POSITION

WTB

SPEC

年齢27
身長175cm
体重83kg
キャップ数34
現所属パナソニック
出身校福岡高−筑波大
出身地福岡
W杯出場歴2015年
ポジションウイング

ポジション

世界レベルのスピード。密集戦のボール奪取力も光る。小柄だが空中戦でも進歩

日本の得点力を支えるトライゲッター。50メートルを5秒8で走る俊足が最大の魅力だ。世界標準のスピードはエディー・ジョーンズ前ヘッドコーチがジョーク交じりに「チーターより速いのでは」と表現したほど。守備への貢献度も高く、「流れを変え、マイボールにできる守備が少しずつできてきた」。密集戦に果敢に絡んでいき、激しいタックルもいとわない。身長175センチは世界と比べて高くなく、キックで狙われることもあったが空中戦での強さが加わり、競り負けることが少なくなった。
1年の浪人を経て入学した筑波大時代に代表初キャップを獲得。4年前のイングランド大会は1試合の出場でトライを奪えなかったが、2016年リオデジャネイロ五輪では7人制代表として4位。1次リーグでニュージーランドを破った。祖父が医師で父は歯科医。自身もW杯と来年の東京五輪の7人制で選手生活に区切りをつけ、医師の道を志すことを公言している。「引退が近づいてきている。どんな試合も悔いが残らないように」。大舞台で全てを懸ける。

中村 亮土

中村
 亮土

Ryoto Nakamura

POSITION

CTB

SPEC

年齢28
身長178cm
体重92kg
キャップ数19
現所属サントリー
出身校鹿児島実業高−帝京大
出身地鹿児島
W杯出場歴-
ポジションセンター

ポジション

体の強さを生かしたタックルやランが武器。組織守備の指示でも強みを発揮する

日本人離れした頑健な体を持つ。太ももの太さはバックスでもトップレベルの67センチ。肩の筋肉は鎧(よろい)のように盛り上がる。そのパワーを生かし、防御ラインが整った状態でもパス1本のシンプルな攻めから前進できる。
最近は「頭」の方でも進境著しい。防御ラインに歪みができそうな場所をあらかじめ予測。自らが移動したり、味方に指示を出して埋めている。攻撃でもプレー中の選択肢が増加。「ラグビーナレッジ(理解力)は今、僕の強み」と言えるまでになった。
脱皮のきっかけは、メンバー落ちした前回のW杯だった。初戦の南アフリカ戦、味方が金星を挙げる姿をテレビで見た時、自らの弱さから目をそらしていたことに気付いた。以来、ビデオを見返し、分析してはグラウンドで実践という作業を繰り返し、頭脳を鍛えることに時間を割いてきた。今ではCTBの主軸の一人で、本番でも出番は多そう。日本の勝利のために、その体と頭をフル回転させてくれるだろう。

ウィリアム・トゥポウ

ウィリアム・
 トゥポウ

William Tupou

POSITION

CTB

SPEC

年齢29
身長188cm
体重101kg
キャップ数10
現所属コカ・コーラ
出身校ブリスベンステート高
出身地ニュージーランド
W杯出場歴-
ポジションセンター、フルバック

ポジション

外のCTBを主戦場にする数少ない選手。ラン、タックルに優れ、ゴールキックやFBも

攻撃ではしなやかな身のこなしで突破していき、防御では力強いタックルで応戦する。188センチの長身でハイボールでの強さも兼ね備える。3年居住条件を満たした17年のアイルランド戦で日本代表デビューを果たした。本職はCTBだが、最近は広いエリアをカバーしなければいけないFBでの起用も増えている。キック処理などで慣れない時期を乗り越えて成長。合宿でFBとしての連係を深めたことで松島幸太朗をWTBに回す選択肢が増えた。複数ポジションをこなすことを求めるジョセフ体制では貴重な存在。「やりづらさはあったが、今はやりがいを感じている」と新たな挑戦を楽しんでいる。 ニュージーランドのオークランド生まれ。トンガ人の父親のオーストラリア移住に合わせてブリスベンで過ごしてきた。13人制のトンガ代表でもプレーした経験を持つ。「いろんな世界を見てみたかった」と2014年に来日。日本代表になることを選んで初めて迎えるW杯ではバックス陣をけん引する一人となる。

ラファエレ・ティモシー

ラファエレ・
 ティモシー

Timothy Lafaele

POSITION

CTB

SPEC

年齢28
身長186cm
体重98kg
キャップ数18
現所属神戸製鋼
出身校デラセラカレッジ−山梨学院大
出身地サモア
W杯出場歴-
ポジションセンター

ポジション

巧みなパスに柔らかいラン、左足のキックを併せ持つ技巧派。穏やかな中に闘志

186センチ、98キロの大型CTBとして12番と13番を背負う。SOに次ぐ攻撃の司令塔となる12番の時、判断の良さに加え、足技も光る。左足で相手防御の裏へボールを蹴り込み、味方を走らせてチャンスを演出する。本人も「12番の方が好き」と話す。
ただ、昨年11月の欧州遠征で左肩をけが。手術とリハビリで今年前半を棒に振り、ピッチに戻ってきたのは6月だった。W杯イヤーの離脱にも「最低6カ月かかるだろうが、普通に考えていた」と焦らず、リハビリ中はメンタル面も鍛えていたという。パシフィック・ネーションズカップは3戦すべてにフル出場。不安視していたフィットネスも完全復活のようだ。
サモアに生まれニュージーランドで育った。13歳で本格的にラグビーを始め、山梨学院大へ。「家族と過ごす心地いい環境からあえて抜け出し、自立心を高めるために行った」。日本流のきつい練習が、ハードワークの精神を養った。2年前に日本に帰化したのは「機会を与えてくれた国に恩返しするため」。日本代表として臨む初のW杯で活躍することこそ、真の恩返しだろう。

レメキ・ロマノラバ

レメキ・
 ロマノラバ

Lomano Lava Lemeki

POSITION

WTB

SPEC

年齢30
身長177cm
体重92kg
キャップ数11
現所属ホンダ
出身校ランコーン高
出身地ニュージーランド
W杯出場歴-
ポジションウイング、フルバック

ポジション

スピード、ステップにパワーも併せ持つ。海外出身選手との間をつなぐバイリンガル

多士済々の日本のWTB、FBの中で、パワーが持ち味の異色の存在。スピードやステップも得意だが「当たるのが好き。外に(ステップで)行ったらトライを取れたのにということも結構あるよ」と笑う。プロボクサーだった父と同様、腕っ節には自信がある。160キロを挙げるベンチプレスはバックスで1位、チーム全体でも屈指の水準だ。本職のWTBだけでなく、頑強な体を生かしてFBで起用される可能性もある。
トンガにルーツを持ち、ニュージーランドで生まれ育った。プロ選手になるため、20歳で来日した。以前は7人制日本代表のエースとして君臨。2016年のリオデジャネイロ五輪ではその突破力を発揮し、4位入賞に大きく貢献した。直後に15人制に専念すると、すぐにこちらの代表でも主力となった。
カラオケでは故・尾崎豊さんやEXILEの曲を愛唱する。海外出身選手の中でも抜群の日本語力と天性の明るさを生かし、多様なルーツを持つ選手同士の潤滑油にもなっている。

松島 幸太朗

松島
 幸太朗

Kotaro Matsushima

POSITION

FB

SPEC

年齢26
身長178cm
体重88kg
キャップ数34
現所属サントリー
出身校桐蔭学園高
出身地東京
W杯出場歴2015年
ポジションフルバック、ウイング

ポジション

切れ味抜群のステップで魅了する、チームのキーマン。父はジンバブエ人

ボールを持てば何かをおこしてくれる。そんな期待を抱かせる攻撃のキーマンだ。
178センチ、88キロは、大型化が進む世界のバックスの中では小柄。だが走りのスピード、変幻自在のステップ、激しいタックルに負けないパワー。いずれも世界基準の武器を駆使したアタックで観客を魅了する。本職はFBだが、最近ウイングでの起用が多いのも、ジョセフHCがその突破力に期待してのことだろう。
昨年からはキックの改善にも取り組んだ。「精度が良くなかったが、代表の攻撃コーチと毎回個別練習をやり、最近は安定してきた」と胸をはる。日本がパシフィック・ネーションズカップ優勝を決めた、最終米国戦でも、味方がボールを競れる位置へ絶妙なハイパントを蹴った。
ジンバブエ人の父と日本人の母の間に生まれた。神奈川・桐蔭学園1年時から全国高校選手権で活躍し、「超高校級」と騒がれた〝ハーフアスリート〟の先駆けだ。「W杯で活躍することを前提に、欧州でやりたい」。飛躍の年にすると固く決意している。

W杯の最新ニュースをお伝えします

W杯の試合結果や日本代表の動きなどを詳しく、いち早くお伝えしております。専門家によるコラムもお楽しみいただけます。

ラグビー
ワールドカップ 2019

日本代表全選手一覧

  • 稲垣啓太

    PR

    稲垣啓太

  • 具智元

    PR

    具智元

  • 中島イシレリ

    PR

    中島イシレリ

  • 木津悠輔

    PR

    木津悠輔

  • ヴァル・アサエリ愛

    PR

    バル・アサエリ愛

  • 坂手淳史

    HO

    坂手淳史

  • 北出卓也

    HO

    北出卓也

  • 堀江翔太

    HO

    堀江翔太

  • ジェームス・ムーア

    LO

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  • 福岡堅樹

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記事
谷口誠、摂待卓、渡辺岳史
写真
中尾悠希、笹津敏暉、小幡真帆、柏原敬樹
デザイン
安田翔平
マークアップ
久能弘嗣

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