セブン新体制
統治の構図とコンビニ40年
セブン&アイ・ホールディングスは4月19日、セブン&アイ社長にセブン―イレブン・ジャパンの社長を務める井阪隆一取締役(58)が昇格する人事案を取締役会で決めた。長年グループを率いた鈴木敏文会長兼最高経営責任者(83)は退任する。「お家騒動」を経てまとまったグループ新体制の構図と、中核となるコンビニエンスストア事業の40年をまとめた。
セブン&アイ・ホールディングスの新体制
新社長
井阪 隆一 氏(58)
現セブンーイレブン・ジャパン社長
- 売上高
- 6兆457億円
- 営業利益
- 3523億円
(16年2月期)
コンビニ事業
セブンーイレブン・ジャパン
新社長
古屋 一樹 氏(66)
現セブンーイレブン・ジャパン副社長
- 米セブンーイレブン・インク
- セブンーイレブン北京
スーパー事業
イトーヨーカ堂
亀井 淳 氏(71)
現社長
- ヨークベニマル
- ヨークマート
- そごう・西武(百貨店)
- セブン銀行(金融)
- セブン&アイ・フードシステムズ(デニーズなど外食)
- ロフト(専門店)
- 赤ちゃん本舗(専門店)
- ニッセンホールディングス(通販)
コンビニの利益はスーパーの40倍以上
セブン&アイ・ホールディングスは、創業一族の伊藤家の祖業であるスーパーマーケット事業と、グループすべての役職から退く鈴木敏文氏が育てたコンビニエンスストア事業が柱だ。2つの事業は売上高こそ大差がないが、実際のもうけを示す営業利益は40倍以上の開きがある。一方、10%近い同社株を握る伊藤家に対して、鈴木氏個人の保有比率は1%に満たない。最大株主でもある伊藤家へと〝大政奉還〟が進むのか、稼ぐ力を後ろ盾にした鈴木氏の影響力が残るのか。「物言う株主」として知られる米投資ファンド、サード・ポイントの意向も絡む中、新体制のスタートに注目が集まる。
コンビニ事業
スーパー事業
売上高
営業利益
売上高の推移
営業利益の推移
鈴木氏引退 コンビニ興隆と歩んだ40年
4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO、83)がグループの全ての役職から退く意向を表明した。「セブンイレブン」をゼロから築き上げ、日本を代表する流通グループに育てた「ミスターコンビニ」の足跡をたどった。
1970年代
米社と提携、都内にコンビニ1号店
1973年米コンビニ最大手サウスランド社と提携 ヨークセブン(現 セブン―イレブン・ジャパン)設立
1974年東京・豊洲にセブンイレブン1号店
1976年セブンイレブン100店舗達成
1978年鈴木氏、セブン―イレブン・ジャパン社長に就任
1980年代
宅配便取り次ぎなどサービス拡大
1980年1000店舗達成
1981年宅配便の取り次ぎサービス開始
1987年電力料金収納業務取り扱い開始
1989年生命保険料払い込み取り扱い開始
1990年代
コンビニがスーパーの利益抜く
1991年米サウスランド社買収
1993年5000店舗達成
1994年セブンイレブン、ヨーカ堂の経常利益抜く
1997年鈴木会長、経団連副会長に
2000年代
銀行業務、コンビニで初の参入
2001年「アイワイバンク銀行(現セブン銀行)」設立。店内にATMを設置
2003年1万店突破
2005年米セブンイレブンを完全子会社化
2007年電子マネー「ナナコ」導入
2010年代
「オムニチャネル」を進める
2011年買い物支援の一環で移動販売開始
2013年1万5000店突破
2015年ネット通販との連携など「オムニチャネル戦略」を進める
2016年鈴木会長、グループすべての役職から退任
カリスマ経営者の引退会見「逃げじゃない。みんなに考えてもらいたい」
- 制作
- メディア戦略部、写真部、映像報道部
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