「重複立候補」「10増10減」 衆院選の仕組み SHUIN2024-SYSTEM
衆院が9日に解散された。衆院選が2024年10月15日公示―27日投開票の日程で実施される。与野党は小選挙区と比例代表あわせて465の議席を争う。今回の衆院選は289の小選挙区のうち半数弱で「区割り」が変わる。有権者の投票の仕組みも含め、まとめた。
当選者は
どう決まる?
注目すべき議席数
全議席数は465席
衆院選での議席数は国会の運営でどれだけ主導権を握れるかに直結する。与党の現有勢力は自民党256、公明党32の計288。自民党派閥の政治資金問題によって低下していた自民党の政党支持率は岸田文雄前首相の総裁選不出馬表明以降、上昇傾向にある。自民党総裁選を経て石破茂首相に代わり、どこまで議席を確保できるか。
法案を本会議で可決するのに必要なのは「過半数」233議席だが、法案の審議はまず委員会が担う。委員会の採決で可否が同数ならば委員長が決裁するため、すべての常任委員会で委員長を出し、委員の半数を得る条件となる244議席の「安定多数」も重要だ。さらに全委員会で、委員の過半数を握るには261議席の「絶対安定多数」が求められる。
選ぶのは465人
小選挙区と比例代表
全体の6割強の289人は小選挙区で選ぶ。人口がなるべく均等になるよう全国をわけた選挙区ごとに票を一番多く獲得した1人が当選する。有権者は投票用紙に候補者名を記入する。
176人は比例代表で選ぶ。全国を11ブロックにわけて人口に基づく定数を割り振っている。ブロックごとに政党の得票数によって各政党の当選人数が固まり、各政党の名簿の順位に沿って上位から当選者が決まる。有権者は政党名を投票用紙に記入する。
小選挙区と比例代表に
「重複立候補」できる
小選挙区で当選
衆院選は小選挙区と比例代表の「重複立候補」の制度がある。小選挙区の立候補者が比例代表選挙の名簿にも名前を載せられる。小選挙区で当選が決まれば比例代表の当選者にはならない。
小選挙区で落選し、
比例代表で復活当選
惜敗率とは?
小選挙区において候補者の得票数をその選挙区の最多得票者(当選者)の得票数で割った比率を指す。100%に近いほど、最多得票者に肉薄し、惜敗だったといえる。
小選挙区で落選しても、政党が獲得した議席数の範囲で比例代表の当選者になる。これを「比例復活」と呼ぶ。政党は小選挙区の複数の候補を比例代表の名簿で同じ順位にできる。同じ順位の場合は惜敗率を比べてより惜しい負け方をした候補者から当選者が決まる。
小選挙区は
「10増10減」
5都県で増、10県で減
議員1人あたりの有権者数の格差を示す「1票の格差」を是正するため、今回の衆院選では小選挙区の数が10増10減となる。
東京が30、神奈川が20に増
東京都で5、神奈川県で2、埼玉、千葉、愛知の各県でそれぞれ1増える。
広島は6、山口は3に減
宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎の10県は1ずつ減る。北海道、茨城、栃木、群馬、静岡、岐阜、大阪、兵庫、島根、福岡の10道府県は小選挙区の数は変わらないものの、区割りが変わる。
比例代表は東京2増、東北1減
比例代表も東京ブロックで2議席、南関東ブロックで1議席増える。東北、北陸信越、中国の各ブロックで各1議席減る。