広がるコロナ・戻らぬ支持率
菅首相、辞意までの1年
菅義偉首相は9月3日、退陣を表明した。2020年9月16日に就任してから、菅政権はわずか1年余りで幕を閉じる。新型コロナウイルスと苦闘し政権の体力を奪われた1年だった。
菅内閣支持率
- 支持
- 不支持
1回目
2回目
2020年9月
菅内閣支持率
総裁選で圧勝、支持率74%でスタート
体調不良で辞任表明した安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を選ぶ総裁選で、官房長官だった菅義偉氏は岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長を破り、第26代総裁に就いた。有効投票数の7割を獲得して圧勝した。内閣支持率は74%と高い人気でのスタートとなった。
デジタル庁や脱炭素で菅カラー
デジタル化や脱炭素といった菅カラーを打ち出した。デジタル庁創設の準備室職員への訓示で「行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行する」と強調。携帯電話料金引き下げも打ち出し、国民に身近な課題で「成果」をめざした。
2020年12月
菅内閣支持率
コロナ感染拡大や「政治とカネ」問題に直面
新型コロナウイルスの感染拡大に直面した。政府のコロナ対応を評価しない人が増え、内閣支持率を下げる要因になった。安倍晋三前首相の後援会が開いた「桜を見る会」前夜祭など「政治とカネ」の問題も響いた。
2021年1月
菅内閣支持率
菅政権初めての緊急事態宣言
コロナ感染の拡大を受け、緊急事態宣言を発令した。発令は2020年4月に続く2度目で、菅政権としては初めて。当初は1カ月の想定だったが、2度の延長により3月21日まで2カ月半に及んだ。感染を防ぐため飲食店での酒の提供停止や時短営業など対策を進めた。
2021年2月
菅内閣支持率
長男の総務省接待問題が発覚
放送関連会社に勤める菅首相の長男などから総務省の幹部らが接待を受けていたことが分かった。総務省幹部らの処分につながった。
2021年3月
菅内閣支持率
ワクチン接種に力点
ワクチン接種に力点を置いた。1月に接種の総合調整にあたる担当閣僚に河野太郎規制改革相を充てた。5月には「1日100万回接種」をめざし、接種加速へ自ら動いた。
2021年4月
菅内閣支持率
バイデン米大統領と会談、共同声明に「台湾」明記
米国を訪問し、バイデン大統領が就任後初めて対面で会談する外国首脳になった。中国と対峙する姿勢を確認し、共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」と明記した。
再び緊急事態宣言
コロナ感染は再び拡大し、医療体制も逼迫した。菅政権では2度目となる緊急事態宣言を発令した。参院の補欠選挙と再選挙で自民党はいずれも敗北した。候補を立てなかった衆院補選と合わせて3戦全敗の結果となった。
2021年7月
菅内閣支持率
東京都議選で自民失速
東京都議選は自民党の苦戦が目立つ結果となった。公明党とあわせて過半数という目標に届かず、大勝して衆院選へ弾みをつける想定は狂った。コロナ対応への有権者の不満を浮き彫りにした。
東京五輪、無観客で開催
政府内に中止論もあった東京五輪は多くの会場で無観客とする異例の形で開かれた。菅首相は「世界が大きな困難に直面するいまだからこそ団結し、人類の努力と英知で大会を開催できると日本から世界に発信したい」と訴えた。東京都などに菅政権として3度目の緊急事態宣言を発令した中での開催で、国内の感染者数は増加傾向を続けた。
2021年9月
菅内閣支持率
自民党総裁選への出馬見送り表明
突然の退陣表明だった。首相は「感染拡大を防止するために専念したい」と述べ、自民党総裁選への出馬を見送る意向を表明した。予定していた党執行部人事の人選が行き詰まり、政権運営の継続が難しくなったとみられる。就任から1年での幕引きとなる。