



政府が女性活躍推進を掲げてから7年。日本経済新聞社が働く女性2000人に調査したところ、管理職志向が2割を下回る一方で、昇進者の7割近くが管理職のメリットを実感していることがわかった。日本は男女平等の進捗を評価した世界ランキング「ジェンダー・ギャップ指数」で2019年に過去最低の121位となり、女性の管理職登用や政治参画の遅れが指摘されている。2年前の日経調査と比較し、女性活躍の課題を探った。
管理職希望は2割届かず


「管理職になりたい」 と回答した女性の割合 (すでに管理職の場合は「なりたいと思っていた」)
管理職(課長職以上)に「なりたいと思う」人は前回調査より2ポイント減った。一方で「思わない」人は64%に達し、多くの人が昇進に尻込みしている状況は続いている。昇進の魅力は「給料」と「成長」とする回答が多かった。「同期も管理職になるから」(7.1%)が前回調査より増え、職場の変化も後押しになっている。
管理職になりたいと思った理由 (複数回答・上位5つ)
管理職になりたくない理由 (複数回答・上位5つ)
管理職への昇進の大きな魅力は「給料アップ」が最多で「自らの成長」が続いた。前回調査と比べて「同期など周囲も管理職になるから」(7.1%)という理由が増えており、職場内の変化も管理職を目指す後押しになっていることがうかがえる。
一方で、職位が上がることに伴う責任や負担の増加は昇進へのネックになっているようだ。なりたくない人のうち、既婚者(事実婚を含む)の41.6%、子どもがいる人の40%が「家庭との両立が難しい」という理由を挙げている。
昇進者の7割が肯定的
「管理職に昇進してよかった」 と回答した女性の割合
「管理職に昇進してよかったか」という質問には115人が回答した(前回調査は101人)。「よかった人」は前回を8.6ポイント上回り、3人に2人は管理職に昇進したことを肯定的に受け止めている。
中にはこんな声も
管理職になってよかった理由(自由回答)には「給与の上昇」を挙げる人が目立つ。「やりがいが増した」などといったモチベーションの向上に加え、「時間が自由になる」「女性部下にとって励みになる」との回答もあった。一方で、よくなかった理由には、「まだ中間管理職で(上司と部下の)サンドイッチ状態」という悩みもあげられた。
やりがい、4割が実感


「今の仕事にやりがいを 感じている」 「今の仕事にやりがいを感じている」 と回答した女性の割合
仕事にやりがいがあるかどうかを尋ねたところ、「はい」と答えた人は前回調査(39.1%)からほぼ横ばいの38.6%だった。ただ、「どちらともいえない」(32.3%)、「いいえ」(29.1%)のいずれの回答も上回り、最も多かった。
やりがいを感じる理由 (上位5つ)
仕事にやりがいを感じる理由として、「やりたい仕事をできているから」という回答が前回調査よりも6.5ポイント増えた。逆に、「自分の成長を感じられるから」は3.4ポイント減少した。
やりがいが感じられないと答えた人の理由は「仕事に見合った給料をもらっていない」との不満が前回比5.6ポイント増の29.4%でトップ。「やりたい仕事ができていない」「自分の成長が感じられない」が続いた。
取材を終えて

日本の女性就業者数は3000万人を超え、就業者全体の約45%を占める。一方で、管理職に占める女性の割合は課長相当職以上で12%に満たないのが現状だ。
管理職志望は今回も2割を切った。責任や負担の重さを不安視して昇進に二の足を踏む人が多いようだ。実際は、女性管理職の3分の2は昇進してよかったと感じている。仕事にやりがいを覚え、裁量が増すことで逆に仕事の自由度も増しているという人も多い。
既に管理職についている人がこの実態を伝えないと、後に続く人材は育たない。「先輩」の働きぶりで「候補生」の抱く不安や懸念を解消することが、管理職への女性登用を加速させるカギとなりそうだ。
(伊藤新時)
正社員・正職員(役員を含む)として働く20~50代の女性を対象に2019年11月から12月にかけて、調査会社マイボイスコム(東京・千代田)を通じてインターネット上で実施。各年代500人ずつ、計2000人から回答を得た。