PKOから安保法へ
広がる自衛隊の海外活動

 カンボジアでの国連平和維持活動(PKO)、テロ掃討作戦に関するインド洋での給油支援、イラク復興支援……。1991年の湾岸戦争をきっかけに、国際貢献のための自衛隊の海外活動は大きく広がった。「専守防衛」を掲げる自衛隊はペルシャ湾の機雷掃海をはじめ、これまで海外でどのような役割を担ってきたのか。安全保障関連法の成立で新たな任務が加わることを踏まえ、その歴史を振り返る。

1992~93

PKO

カンボジア

  • 国連カンボジア暫定統治機構
    (UNTAC)
  • 動員数1216人
    停戦監視要員16人と施設部隊1200人、派遣期間約1年
  • 92年のPKO協力法成立を受け、自衛隊が初めてPKOに参加した。カンボジアに陸・海・空自衛隊を派遣。内戦で荒廃した同国の国家再建のため、停戦監視や道路・橋の建設などにあたった。文民警察官の高田晴行警視と国連ボランティアの中田厚仁さんが殺害された。

陸上自衛隊提供

1993~95

PKO

モザンビーク

  • 国連モザンビーク活動
    (ONUMOZ)
  • 動員数154人
    司令部要員10人と輸送調整部隊144人、派遣期間約1年8カ月
  • 自衛隊の輸送調整部隊と司令部要員を派遣。内戦が続いたモザンビーク再建のため、業務計画の立案や選挙に必要な資材輸送などを受け持った。

陸上自衛隊提供

1996~2013

PKO

ゴラン高原

  • 国連兵力引き離し監視軍
    (UNDOF)
  • 動員数1501人
    司令部要員(1~17次)38人と輸送部隊(1~34次)1463人、派遣期間約17年
  • 自衛隊PKOとして最長の部隊派遣。中東ゴラン高原でのイスラエル・シリア間の停戦監視と両軍の兵力引き離し履行状況の監視を主要任務として自衛隊を派遣し、中東の安定化に寄与した。

2011~

PKO

南スーダン

  • 国連南スーダン派遣団
    (UNMISS)
  • 動員数2100人
    司令部要員15人、派遣施設隊1995人(現時点)。
    現地支援調整所90人、派遣期間11カ月
  • アフリカで54番目の国となる「南スーダン共和国」の誕生に合わせ、統治支援のために自衛隊を派遣。司令部要員のほか、道路などのインフラ整備にあたり、南スーダンの国づくりに貢献した。現在も駐留しており、安保法の第1号の案件として有力視されている。

2001~07

特別立法による活動

  • テロ対策特措法
  • 動員数3220人
    インド洋に海上自衛隊約320人、在日米軍基地などに航空自衛隊
    約2900人、派遣期間6年
  • 米同時テロを受けた対米協力とアフガニスタンの被災民救済が主な業務。戦時下での海外活動で、米艦隊などへの燃料の輸送・補給、パキスタンの被災民のためのテントや毛布の配布などを実施した。

2003~09

特別立法による活動

  • イラク復興支援特措法
  • 動員数1240人
    イラク南東部などに陸上自衛隊約600人、派遣期間2年半。
    クウェートなどに同約100人、派遣期間3カ月
    ペルシャ湾などに海上自衛隊約330人。派遣期間1カ月半
    クウェートなどに航空自衛隊約210人、派遣期間5年2カ月
  • 陸自はイラク南東部で医療、給水、学校の復旧・整備などの人道復興支援活動と米英軍などの安全確保支援活動に従事。空自はクウェートを拠点にイラクに人道物資を輸送し、海自は陸自部隊の輸送にあたった。

防衛省提供

2008~10

特別立法による活動

  • インド洋補給支援特措法
  • 動員数330人
    インド洋に海上自衛隊約330人、派遣期間1年11カ月
  • 01年の米同時テロをきっかけに始まった海上自衛隊によるインド洋での給油活動。「ねじれ国会」のあおりを受け、1年11カ月中断していたが、与党が憲法の規定に基づき衆院の3分の2以上の賛成で法案を再可決し、業務を再開した。

防衛省提供

2009~

特別立法による活動

  • 海賊対処法
  • 動員数593人
    ソマリア沖・アデン湾に海上自衛隊(水上部隊)約400人、2009年3月から派遣中
    ソマリア沖・アデン湾・ジブチに海上自衛隊(航空隊)約120人、
    陸上自衛隊(航空隊)約70人、2009年5月から派遣中
    ジブチ現地調整所に3 人、2012年7月から派遣中
  • アフリカ・ソマリア沖などの海賊対策として、外国船を含む民間船舶を護衛するため自衛隊の派遣が可能になった。

「自衛隊派遣マップ」でみる
これまでの活動

ドラッグで地図を移動させ、地図上のマークをクリックすると、活動一覧内の対応する項目が表示されます。

PKO

  • 1992~93年
    ・カンボジア 国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)
    ・停戦監視要員16人と施設部隊1200人、派遣期間約1年
    ・自衛隊初のPKO。陸・海・空自衛隊から参加
  • 1993~95年
    ・モザンビーク 国連モザンビーク活動(ONUMOZ)
    ・司令部要員10人と輸送調整部隊144人、派遣期間約1年8カ月
    ・初の国連司令部への派遣。初の陸・海・空自衛官からなる部隊編成
  • 1996~2013年
    ・ゴラン高原 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)
    ・司令部要員(1~17次)38人と輸送部隊(1~34次)1463人、派遣期間約17年
    ・中東の安定化に寄与。自衛隊PKOとして最長の部隊派遣
  • 2011年~
    ・南スーダン 国連南スーダン派遣団(UNMISS)
    ・司令部要員15人、派遣施設隊1995人(現時点)。現地支援調整所90人、派遣期間11カ月
    ・南スーダンの国づくりに貢献
  • 1994年
    ・ルワンダ難民救援
    ・ルワンダ難民救援隊260人、空輸派遣隊118人、派遣期間3カ月
    ・初の人道的な国際救援活動。アフリカなどから高い評価
  • 1999~2000年
    ・東ティモール避難民救援
    ・空輸部隊113人、派遣期間3カ月
    ・空自の輸送隊により援助物資輸送
  • 2001年
    ・アフガニスタン難民救援
    ・空輸部隊138人
    ・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づき、救援物資を輸送
  • 2002~04年
    ・国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)、国連東ティモール支援団(UNMISET)
    ・司令部要員17人、施設部隊2287人、派遣期間2年4カ月
    ・最大規模のPKO参加。初の女性自衛官参加
  • 2003年
    ・イラク難民救援
    ・空輸部隊50人、派遣期間1カ月
    ・人道的支援のため、政府専用機で物資を輸送
  • 2003年
    ・イラク被災民救援
    ・空輸部隊98人、派遣期間1カ月
    ・世界食糧計画(WFP)の要請に基づく活動に協力
  • 2007~11年
    ・国連ネパール支援団(UNMIN)
    ・軍事監視要員24人、派遣期間3年10カ月
    ・初の武器および兵士の監視業務を遂行
  • 2008~11年
    ・国連スーダン派遣団(UNMIS)
    ・司令部要員12人、派遣期間2年11カ月
    ・スーダン安定化に寄与
  • 2010~13年
    ・国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)
    ・司令部要員12人、施設部隊2184人、派遣期間2年11カ月
    ・ハイチ国緊活動に連接した派遣。大地震後の復旧・復興支援
  • 2010~12年
    ・国連東ティモール統合支援団(UNMIT)
    ・軍事連絡要員8人、派遣期間2年
    ・東ティモールの治安維持と回復に寄与

PKO
PKO

特措
特別立法による
活動

援助
国際緊急
援助活動

  • 01PKO

    1992~93年
    ・カンボジア 国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)
    ・停戦監視要員16人と施設部隊1200人、派遣期間約1年
    ・自衛隊初のPKO。陸・海・空自衛隊から参加

  • 02PKO

    1993~95年
    ・モザンビーク 国連モザンビーク活動(ONUMOZ)
    ・司令部要員10人と輸送調整部隊144人、派遣期間約1年8カ月
    ・初の国連司令部への派遣。初の陸・海・空自衛官からなる部隊編成

  • 03PKO

    1994年
    ・ルワンダ難民救援
    ・ルワンダ難民救援隊260人、空輸派遣隊118人、派遣期間3カ月
    ・初の人道的な国際救援活動。アフリカなどから高い評価

  • 04PKO

    1996~2013年
    ・ゴラン高原 国連兵力引き離し監視軍(UNDOF)
    ・司令部要員(1~17次)38人と輸送部隊(1~34次)1463人、派遣期間約17年
    ・中東の安定化に寄与。自衛隊PKOとして最長の部隊派遣

  • 05援助

    1998年
    ・ホンジュラス国際緊急援助活動(ハリケーン災害)
    ・医療部隊80人、空輸部隊105 人、派遣期間約1カ月
    ・自衛隊初の国緊活動。長距離の空輸を達成

  • 06援助

    1999年
    ・ホンジュラス国際緊急援助活動(ハリケーン災害)
    ・医療部隊80人、空輸部隊105 人、派遣期間約1カ月
    ・自衛隊初の国緊活動。長距離の空輸を達成

  • 07PKO

    1999~2000年
    ・東ティモール避難民救援
    ・空輸部隊113人、派遣期間3カ月
    ・空自の輸送隊により援助物資輸送

  • 08援助

    2001年
    ・インド国際緊急援助活動(地震災害)
    ・物資支援部隊16人、空輸部隊78人、派遣期間約1週間
    ・外務省や非政府組織(NGO)などと連携

  • 09PKO

    2001年
    ・アフガニスタン難民救援
    ・空輸部隊138人
    ・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づき、救援物資を輸送

  • 10特措

    2001~07年
    ・旧テロ特措法に基づく協力支援活動
    ・インド洋に海上自衛隊約320人、在日米軍基地などに航空自衛隊約2900人、派遣期間6年
    ・テロを根絶するため努力。諸外国軍隊との連携強化

  • 11PKO

    2002~04年
    ・国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)、国連東ティモール支援団(UNMISET)
    ・司令部要員17人、施設部隊2287人、派遣期間2年4カ月
    ・最大規模のPKO参加。初の女性自衛官参加

  • 12PKO

    2003年
    ・イラク難民救援
    ・空輸部隊50人、派遣期間1カ月
    ・人道的支援のため、政府専用機で物資を輸送

  • 13PKO

    2003年
    ・イラク被災民救援
    ・空輸部隊98人、派遣期間1カ月
    ・世界食糧計画(WFP)の要請に基づく活動に協力

  • 14援助

    2003~04年
    ・イラン国際緊急援助活動に必要な物資輸送(地震災害)
    ・空輸部隊31人、派遣期間約1週間
    ・JICAと連携し、援助物資を空輸

  • 15特措

    2003~09年
    ・イラク人道復興支援特措法に基づく活動
    ・イラク南東部などに陸上自衛隊約600 人、派遣期間2年半。クウェートなどに同約100人、派遣期間3カ月
    ・ペルシャ湾などに海上自衛隊約330人。派遣期間1カ月半
    ・クウェートなどに航空自衛隊約210人、派遣期間5年2カ月
    ・イラク復興で見せた自衛隊の活動に対し、世界中から評価。日米同盟の強化に貢献

  • 16援助

    2004~05年
    ・タイ国際緊急援助活動(地震・津波被害)
    ・派遣海上部隊590人、派遣期間4日間
    ・帰国中の海上自衛隊護衛艦を迅速に投入し捜索救援

  • 17援助

    2005年
    ・インドネシア国際緊急援助活動(地震・津波災害)
    ・統合連絡調整所22人、医療・航空援助部隊228人、海上派遣部隊593 人、空輸部隊82人、派遣期間約3カ月半
    ・約1000人の大規模な救援。初の陸上自衛隊ヘリコプター展開。初の統合連絡調整所を開設

  • 18援助

    2005年
    ・ロシア連邦カムチャッカ半島沖国際緊急援助活動
    ・海上派遣部隊346人、派遣期間5日間
    ・海上自衛隊潜水艦救難艦が迅速に対応

  • 19援助

    2005年
    ・パキスタン国際緊急援助活動(地震災害)
    ・航空援助隊147人、空輸部隊114人、派遣期間約1カ月半
    ・航空自衛隊輸送機で陸上自衛隊ヘリコプターを展開。現地でJICAと連携

  • 20援助

    2006年
    ・インドネシア国際緊急援助活動(地震災害)
    ・医療援助隊149人、空輸部隊85人、派遣期間3週間
    ・医療支援、防疫活動を実施

  • 21PKO

    2007~11年
    ・国連ネパール支援団(UNMIN)
    ・軍事監視要員24人、派遣期間3年10カ月
    ・初の武器および兵士の監視業務を遂行

  • 22特措

    2008~10年
    ・補給支援特措法に基づく補給支援活動
    ・インド洋に海上自衛隊約330人、派遣期間1年11カ月
    ・中断していた業務を再開。諸外国の対テロ活動への支援

  • 23PKO

    2008~11年
    ・司令部要員12人、派遣期間2年11カ月
    ・インド洋に海上自衛隊約330人、派遣期間1年11カ月
    ・スーダン安定化に寄与

  • 24特措

    2009年~
    ・ソマリア沖・アデン湾海賊対処
    ・ソマリア沖・アデン湾に海上自衛隊(水上部隊)約400人、2009年3月から派遣中
    ・ソマリア沖・アデン湾・ジブチに海上自衛隊(航空隊)約120人、陸上自衛隊(航空隊)約70人、2009年5月から派遣中
    ・ジブチ現地調整所に3 人、2012年7月から派遣中
    ・日本の船舶だけでなく諸外国の船舶も護衛

  • 25援助

    2009年
    ・インドネシア国際緊急援助活動(地震災害)
    ・医療援助隊12 人、統合連絡調整所21 人、派遣期間約2週間
    ・医療援助を迅速に実施

  • 26援助

    2010年
    ・ハイチ国際緊急援助活動(地震災害)
    ・医療援助隊104 人、空輸部隊97 人、統合連絡調整所33人、派遣期間約1カ月
    ・ハイチでの大地震に際し、迅速な輸送・医療活動を実施

  • 27PKO

    2010~13年
    ・国連ハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)
    ・司令部要員12人、施設部隊2184人、派遣期間2年11カ月
    ・ハイチ国緊活動に連接した派遣。大地震後の復旧・復興支援

  • 28援助

    2010年
    ・パキスタン国際緊急援助活動(水害)
    ・航空援助隊184 人、統合運用調整所27 人、海上輸送隊154 人、空輸部隊149 人、派遣期間約7週間
    ・現地における初の統合運用調整所を開設。諸外国との連携により任務を達成

  • 29PKO

    2010~12年
    ・国連東ティモール統合支援団(UNMIT)
    ・軍事連絡要員8人、派遣期間2年
    ・東ティモールの治安維持と回復に寄与

  • 30援助

    2011年
    ・ニュージーランド国際緊急援助活動要員および物資輸送(地震災害)
    ・空輸部隊40 人、派遣期間約1週間
    ・警察、消防、海上保安庁などのチームを輸送

  • 31PKO

    2011年~
    ・南スーダン 国連南スーダン派遣団(UNMISS)
    ・司令部要員15人、派遣施設隊1995人(現時点)。現地支援調整所90人、派遣期間11カ月
    ・南スーダンの国づくりに貢献

  • 32援助

    2013年
    ・フィリピン国際緊急援助活動(台風災害)
    ・現地運用調整所、医療・航空援助隊、海上派遣部隊、空輸部隊1,086人、派遣期間1カ月
    ・医療・防疫、被災民らの輸送活動などを実施

  • 33援助

    2014年
    ・マレーシア航空機消息不明に対する国際緊急援助活動(捜索)
    ・現地支援調整所、海国際緊急援助、空国際緊急援助飛行隊など137 人、派遣期間約1カ月半
    ・捜索救助活動など実施

安保法成立 飛躍的に広がる任務

 9月に安保法が成立したのを受け、これまで認められていなかった集団的自衛権の行使が限定的に可能となる。日本の平和と安全に影響を与える事態に切れ目なく対応できるようにするとともに、日米同盟を強化して抑止力を高めるのが狙いだ。

 自衛隊の任務も飛躍的に広がる。後方支援を認める他国軍や支援内容の範囲も拡大。PKOでは従来はインフラの整備や医療支援が中心だったが、離れた場所で襲われた外国の部隊らを助ける「駆けつけ警護」や住民保護などの「治安維持」ができるようになる。

 安保法成立直後に実施した日本経済新聞の世論調査では、政府の安保法に関する説明は「不十分だ」が78%で「十分だ」の12%を大きく上回っており、政府・与党は国民への説明を粘り強く続ける考えだ。

安倍首相

制作:坂口幸裕、安田翔平、久野美菜子
出所:2014年版 防衛白書

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