自動車7社、収益拡大に弾み 稼ぐ体質を分析

 自動車メーカーの業績拡大が続く。国内大手7社の2015年4~9月期連結決算が出そろい、本業のもうけである営業利益はトヨタ自動車、日産自動車、スズキ、マツダ、富士重工業の5社が2ケタ増益だった。各社ともガソリン安や低金利により需要が伸びる北米市場で、利幅が大きい多目的スポーツ車(SUV)など大型車の販売増がけん引。日本やアジアといった需要が弱含む市場を補った。円安効果もプラスに働いた。金融危機後に能力増強の投資を抑え、生産現場などでのコスト削減を重ねた結果、利益を出しやすい体質になっている。グラフから稼ぐ力を着実に高めてきた各社の好調ぶりが鮮明になる。

16年3月期見通し、4社が純利益、過去最高

  • トヨタ自動車
  • 日産自動車
  • ホンダ
  • スズキ
  • マツダ
  • 三菱自動車
  • 富士重工業

マツダは12年3月期の最終損益が赤字のため、前の期と比較できず。13年3月期に黒字転換した。

 トヨタ自動車が5日発表した2015年4~9月期の連結純利益は前年同期比12%増の1兆2581億円だった。過去最高を更新した。4~9月期の純利益は、日産自動車が37%増、ホンダが14%増、スズキが47%増、富士重工業が71%増と大幅増益が目立った。本業での稼ぐ力である営業利益率は富士重が18%になったなど各社とも軒並み高まった。金融危機から業績回復を遂げて、収益拡大に弾みがついている。2016年3月期の連結業績見通しは、上半期の勢いを引きつぎ好調を維持する。日産は10年ぶりに純利益が過去最高を更新する。トヨタ、日産、スズキ、富士重の4社が最高益となる見通しだ。

世界販売台数、上期実績と通期見通しは?

北米は販売増、中国・新興国の景気減速で不透明感

 トヨタは2015年4~9月期の全世界のグループ販売台数が497万9000台と前年同期と比べて5万3000台減った。地域別で国内、欧州、アジアが苦戦したものの、最大の収益源である北米で販売を伸ばした。16年3月期通期見通しは1000万台と前期比2%減。従来予想を15万台下回る計画だ。

 日産、ホンダなども北米での販売増が収益を押し上げる構図は同じ。2015年に1700万台を突破する勢いの米国市場の動向に改めて注目が集まる。

 トヨタ、三菱自動車を除けば、16年3月期通期のグローバル販売は増加を維持する。スズキはインドで新車の売れ行きが好調。各社とも強みとするマーケットでしっかり台数を稼ぐ。もっとも、中国、新興国市場の景気減速感が懸念されるなかで、各社が増益基調を維持できるかは不透明感が漂う。

取材・制作森園泰寛、牛込俊介、清水明

データ出所各社決算資料

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