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◆は各市町村のランクを示し、クリックすると同レベルの市町村を一括表示

医療ランクの7段階は
「1人あたり医療指数」で分けた。

  • かなり余裕がある、1.5以上
  • 充実している、1.2以上1.5未満
  • 全国平均レベル、0.8以上1.2未満
  • 不足、0.6以上0.8未満
  • かなり不足、0.4以上0.6未満
  • 大幅に不足、0.2以上0.4未満
  • ※レベル1と2は統合、0.2未満

介護ランクの7段階は、40年需要に対する
「介護ベッド準備率」で分けた。

  • かなり余裕がある、30%~
  • やや余裕がある、10%~29.9%
  • やや不足、▲10%~9.9%
  • 不足、▲30%~▲9.9%
  • かなり不足、▲60%~▲29.9%
  • 大幅に不足、▲100%~▲59.9%
  • 大幅に不足、~▲99.9%

 医療ランクは、一般病床の数、手術のための全身麻酔の実施件数、病院まで車でかかる移動時間などの評価項目をポイントにした。そのうえで、人口で割ってどれほど行き届くかを示す「1人あたり医療指数」とした。病院の数が単純に多くても、人口が多ければランクは低い。

 介護ランクは、2040年の介護施設の受け入れ能力を示し、介護ベッドの数をもとに分析した。2015年時点で、75歳以上の後期高齢者(1645万8195人)に必要とされる1人あたりの介護ベッド数は0.081床とされる。各地域の40年の後期高齢者の推計人口にこの0.081床を掛け、これから必要になるベッド数を予測している。

 15年の各地域にあるベッド数から、40年に必要な推計ベッド数を引いて余力を調べた。プラスであれば余力があり、マイナスであればベッドが足りず将来に向けて拡充が必要になる。この過不足をもとに算出したのが「介護ベッド準備率」で、他地域と比較できるようにした。

「医療・介護難民は現実に起こっている」

 日本創成会議が示した全国各地の医療・介護レベルは、国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授が独自指標を開発して、分かりやすくランクづけした。同会議の提言は、東京圏をはじめ三大都市圏の水準の低さを浮かびあがらせ、余力がある地方への移住を促す。その背景や狙いについて聞いた。

国際医療福祉大学大学院 高橋泰教授

日本創成会議は2014年、全国1800市区町村のうち896を人口減少により出産年齢人口の女性が減る「消滅可能性都市」として公表し話題を呼んだ。それに続く提言として、医療・介護サービスのレベルを地域ごとに分析した。

 「人口減少が進んで地方の活気が失われていく裏表で、東京圏をはじめ大都市圏への集中が懸念される。急速な高齢化に向き合うためには、医療・介護の受け入れ体制の充実が前提だ。今、66~68歳の団塊の世代が、後期高齢者(75歳以上)となる2025年以降にこうした需要が膨らむ。東京の実態を調べてみても、多くの高齢者や要介護者が埼玉県、千葉県、神奈川県の周辺地域の施設に頼っている」

 「地方に目を向けると、現状のままでも医療・介護施設が充実しているうえ、緩やかになる高齢化を踏まえれば入院需要がそれほど伸びず余力が生まれるエリアがある。東京を代表とする大都市で老後を過ごすのは必ずしもバラ色でなく、危機的な事態が差し迫っている。医療・介護難民の問題は現実に起こっており、自分の身に降りかかる課題として受け止めてほしい」

移住候補先として、北九州(福岡)、室蘭(北海道)、弘前(青森)、別府(大分)、宮古島(沖縄)、松江(島根)、金沢(石川)など41の地域を挙げた。

 「今、住んでいる場所に居続けることにこだわらず、医療・介護余力がある地方に移り住むのも選択肢だ。老後の利便性を念頭に置いて、大都市や地方都市から受け入れに余力があるエリアを選んだ。出身地に限らず、趣味を含めてセカンドライフを考えて、移住を意識するきっかけにしてほしい」

地方行政から低評価や負担の肩代わりなどを疑問視する声が上がった。

 「医療、介護の水準を7段階に分けたが、細かいところに対応しきれておらず、あくまでも目安として受け止めてほしい。地方の有力都市では今は施設が充実していても、将来の後期高齢者の急増を織り込むとベッド不足が深刻になってしまうケースもある。医療・介護サービスの質が必ずしも低いわけでなく、行政への働きかけで改善される足がかりになる」

 「三大都市圏で引き起こされる急激な高齢化は、1955~70年に800万人程度が地方から流出したことが引き金となった。地方では彼らが生むはずだった子孫が消えており、過疎化に拍車がかかっている。そのためにも、健康なうちから移住する『CCRC(コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティー)構想』は期待できる。地方に若年層を呼び戻す雇用を生み出すチャンスとなり、空き家対策などにつながる可能性がある。高齢者を受け入れるとともに、人口や都市機能を集約するコンパクトシティー化など議論が盛んになることを望む」

取材・制作
森園泰寛、松本千恵、安田翔平、山崎亮

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