「和」と「免税」で訪日客呼ぶ
銀座に新型商業ビル
訪日外国人の急増で買い物・観光需要に沸く東京・銀座。世界有数の商業地であり、国土交通省が3月22日に公表した公示地価でも過去最高を更新した。その一等地は今、新たなランドマークの座を競うように、新型商業ビルの開業が目白押しだ。その先陣を切って「東急プラザ銀座」が3月31日に開業。訪日客を呼び込もうと内外装には「和」のデザインをあしらい、韓国・ロッテグループが開く免税店も注目されている。開店前の内覧会で、にぎわいを待つ光景を360度カメラで切り取った。
数寄屋橋交差点にそびえる「江戸切子」
外観
「東急プラザ銀座」は数寄屋橋交差点に位置する。北西から南東に走る晴海通りと、外堀通りが交わる。霞ケ関・有楽町方面からの玄関口。ソニービル、東京高速道路をはさみ有楽町マリオンなどが並ぶ。地上11階、地下5階の東急プラザ銀座は、東京メトロの銀座駅コンコースと直結する。外観は伝統のガラス工芸、「江戸切子」をあしらった。外壁にLED(発光ダイオード)照明がつけられ、季節にあわせてライトアップする。
27メートルの吹き抜け、日本らしい「間」
キリコラウンジ
訪日客を意識し、館内設計は「和」の伝統や美意識にこだわった。6階にある公共スペースがこのビルの目玉。最上階まで貫く約27メートルの吹き抜けは、ひときわ開放的な雰囲気がある。ガラス枠の広さ、天井から広がる照明など、日本らしい「余白」や「間」を演出する。約5万平方メートル(延べ床面積)に、ファッションからレストランまで125店舗が入る。外に目を向けると「三越」、「和光」など観光客でにぎわう商業施設が並ぶ。
韓国・ロッテの免税店、銀座進出
9階 ロッテ免税店
「東急プラザ銀座」の8~9階には、免税店世界3位のロッテグループが入る。消費税に加え、酒税、たばこ税、関税がかからない「空港型免税店」となる。銀座4丁目交差点でサッポロ不動産開発が再開発する商業施設は16年夏の開業を予定し、日産自動車のギャラリーが復活する。中央通りの「松坂屋銀座店」は17年1月完成を目指し、観光バスの乗り降りスペース、能楽堂を備える。銀座を舞台に激しくなるインバウンド需要争奪戦は、人の流れを大きく変えそうだ。
- 制作
- 森園泰寛、川﨑なつ美、清水明、清水正行
- 写真
- 寺澤将幸