荷物がすぐ届くワケ 360度カメラで見た
巨大配送拠点

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 インターネットで本や服を注文して、翌日に自宅やオフィスに商品が届くのは当たり前。宅配サービスは生活になくてはならない社会インフラとなっている。荷物を手軽に送って、そして受け取る。ヤマト運輸の「宅急便」は1976年1月にサービスを始め、ちょうど40周年を迎えた。1日平均で400万〜500万個にもなる荷物をどうやって運ぶのか。仕分けする日本最大級の配送センターに潜入。360度動画を撮影できるカメラを荷物に載せて舞台裏をのぞいてみた。いろんな角度からスピード輸送を可能にする設備や技術をチェックできる。

1分に800個を仕分け

 ヤマトHDの巨大物流センター「羽田クロノゲート」(東京・大田)の広さは東京ドーム4個分の約20万平方メートル。最新設備がITで集中制御され、1時間に最大4万8000個の荷物を仕分けする。荷物はスタッフの手により投入口から入れられ、全長1070メートルの「クロスベルトソータ」と呼ぶ仕分けラインに向かう。

1分に800個を仕分け

送り先のデータをパッと読み取り

 大量の荷物を誤りなく届ける。そのためには、段ボールに貼られた送り先の伝票や管理用のラベルを正しく読み取ることが欠かせない。ラインに載る前に、荷物は照射される赤い光をくぐり、データをスキャンされる。ラベルがなくなってしまっても、伝票の文字情報をカメラで撮影するので抜かりがない。見落としを防ぐため、このプロセスで荷物をそっと片側にずらす一工夫がある。

送り先のデータをパッと読み取り

25の合流地点、スピード重視でも丁寧に

 「クロスベルトソータ」は時速9.7キロメートルで流れる。実際に荷物が載るのは50センチ× 140センチのセルで、1336のセルが並ぶ。投入口から25カ所の合流地点を経て、全国から集められた荷物はここで一瞬出合う。それぞれのセルにゴムが巻き付けられ、クルクル回る。勢いがついて合流してきた荷物をスリップさせずに止まる。荷物はエリアごとに48のシューターを下ってまとめられる。その後、トラックに載せられて、あなたの手元に届けられる。

25の合流地点、スピード重視でも丁寧に

40年を迎えた宅急便、初日は11個 
作業の自動化、待ったなし

ヤマト運輸の宅急便の取扱個数

 40年前、ヤマト運輸の宅急便がサービス初日に運んだ荷物は11個だった。現在、同社と佐川急便、日本郵便などをあわせた国内全体の宅配便の取扱個数は36億個超。2014年度のシェアは約16億個のヤマト運輸が45%、佐川急便が34%、日本郵便が14%を占める寡占市場だ。2020年前後に40億個を突破し、20年代前半に50億個に届くという試算がある。増え続ける荷物に対して、人手不足も深刻になりつつある。作業の自動化、効率化にもスピードをあげて取り組む必要がある。

進化し続ける宅配サービス

 スピード輸送を可能にする宅配サービスの輸送網は、くらしに欠かせない存在になりつつある。日本郵便は米アップル、米IBMと連携して、高齢者見守りサービスを提供する計画を進める。佐川急便を傘下に持つSGホールディングスはローソンと組み、コンビニエンスストアを拠点にした日用品や弁当の注文を受ける「御用聞き」に取り組む。

 自動運転トラック、小型無人機「ドローン」の活用など進化の余地はある。ヤマト運輸はこのほど無料対話アプリ「LINE」で配達予定日時の連絡や配達依頼を受け付けるサービスを始めた。「LINE」で友達どうしであれば、住所を知らずとも荷物を送れるサービスを検討する。位置データをはじめとする荷物が持つ情報をどんどんデジタル化できれば、配送ルートづくりや人員の配置など業務の効率化にもつながるはず。「ラストワンマイル」と呼ばれる玄関先までの数キロの輸送の時間がさらに縮まり、利便性も充実していく。

取材・制作寺澤将幸、鎌田倫子、佐藤健、清水明

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