スケッチ2050 わたしを待つミライ 1

スケッチ2050 スケッチ2050

2050年、技術は私たちの生活や価値観をどのように変えているのだろうか。日本経済新聞の取材を織り交ぜながら大胆な未来予想を劇画で描く。

プロローグ


VRゴーグルを装着するみき
みき

みき

私は未来みき、東京都内の高校に通う17歳。

2019年1月、私はVRゴーグルを使ったオンラインゲーム「City Next」を楽しんでいた。未来の都市を作り上げるシミュレーションゲームだったんだけど…

画面に吸い込まれるみき
みき

みき

やばい!

突然、画面に吸い込まれてしまった!どんどん気が遠くなっていく…気が付くと目の前に女の人が立っていた。

みき

みき

誰なの?

2050年の大人になったみきが、現れた
ミキX

ミキX

今は2050年。私は大人になったあなたよ。

彼女によると今は2050年らしい。ということは、大人の私は、あ~もうややこしいから「ミキX」は48歳。

ミキX

ミキX

あなたの未来を案内してあげる。
自動車に乗って。

Xの誘いを受け私は自動車に乗り込んだ。

エピソード1
100億人のキリギリス?


街中にあふれるシェアリングモビリティー

2050年、車の8割は完全自動運転。所有する「モノ」じゃなくてシェアリングする「モビリティー」になってた。人口の7割が都市に集まっていて交通量もすんごい増えるなか、空飛ぶ自動車も行き交ってる。

ミキX

ミキX

車だけじゃなくて、かばんも洋服も定額制で使い放題が主流よ。

みき

みき

モノを持つ意味がすごい変わったなあ。

2050年には新車販売のほぼ全てが自動運転車になっている可能性がある
(カナダ・ビクトリア トランスポート ポリシーインスティチュート)


自動運転車の普及によって生まれる新たな市場(パッセンジャー・エコノミー)は2050年には7兆ドル(770兆円)に
(米インテルと米ストラテジーアナリティクス)


2023年以降、カーシェアサービスなどによって世界販売台数の約2%に相当する200万台規模の新車需要が消える。
(英IHSマークイット)

完全自動翻訳機能を使って会話する多国籍の社員たち

ミキXが経営してる会社のオフィスにやってきた。多国籍の社員たちはみんな母国語だけど、遅延なくスムーズに会話してる。

ミキX

ミキX

私もみんなも完全自動翻訳機能が入った極小チップを耳に埋め込んでいるのよ。

ミキX

ミキX

怒ったり喜んだり、ことば以外で気持ちを伝えるのも難しいけど、脳の電気信号を読み取ってお互いの感情が分かるマイクロチップも発売されたわ。

ミキX

ミキX

うちでも早速試しているところなの。

2030年までに完全自動翻訳機が普及する見通し
(情報通信研究機構)


脳の電気信号を解析できれば、感情や意識と呼ぶものも信号として再現できる。2050年には脳とコンピューターが接続され、言語と意識の壁を越えたコミュニケーションが実現する可能性がある
(遠隔操作ロボット開発のメルティンMMI)

汎用人工知能(AGI)を使って書類を作成

ミキXの会社では汎用人工知能(AGI)っていう何でもこなすAIが人に代わってがっつり働いている。

ミキX

ミキX

会社内外のデータをもとにした会計書類から官公庁に提出する書類の作成まで高度な作業もこなしているのよ。

工場でもAIが生産計画をまとめロボットがほぼ全ての作業を担っている。

ミキX

ミキX

近ごろはどこの会社もAGI任せね。

特定のタスクではなく、あらゆる目的・課題に対応できる汎用人工知能(AGI)は2030~2050年に普及する
(ドワンゴ人工知能研究所)


2035年、日本の労働人口の約49%がAIやロボットに代替可能に
(英オックスフォード大)


1000ドルのコンピューターのデータ処理速度は2045年に全人類に匹敵する能力を持つまでになる
(米グーグル)

宇宙旅行や無人島生活や狩猟が流行

AIやロボットが仕事の半分以上を代替する結果、人の仕事は思いっきり減って娯楽や余暇が生活の大部分を占めるようになっていた。宇宙旅行を楽しむ人が増え、無人島生活や狩猟が一大ブームになってるらしい。

ミキX

ミキX

うふふ。究極のデジタルデトックスね!

ミキX

ミキX

ずっとネットワークにつながり心も体もデジタル漬けになった2050年の人たちはその反動で野性に回帰したいようね。

みき

みき

やばい、私は遊んでばかりかも。

2041年から100万円以下の宇宙旅行が実現する見通し
(科学技術・学術政策研究所)


労働と余暇の区別は消滅し自分固有の活動が全面に押し出される時代が訪れる
(野村総合研究所)


早ければ2045年ごろには日本の全人口の1割しかまともに働いていない社会になっている。AIやロボットが富をもたらすなか、人は賃金労働ではなく生活そのものや豊かな消費に最大の価値を見いだすようになる。
(井上智洋 駒沢大准教授)

加計学園:認可に官邸から働きかけ?
みき

みき

2050年と古代ローマは似ているなぁ。

奴隷制が発達したローマ帝国は一時期、人口の3割を奴隷が占めていたんだって。しかも都市圏の奴隷は高度な知識と教養を持ち合わせ、市民や貴族階級に仕えていた。奴隷が労働に従事した結果、余暇が増えた人々は裕福な生活や娯楽に興じた。建築や文学など文化を生み出す時間もできた。

ミキX

ミキX

2019年、大人たちは人生で最も多くの時間を労働に割いてるね。

みき

みき

だけど、AIが多くの労働を果たす2050年、人は人生で何に価値を見いだすんだろう。

みき

みき

「アリとキリギリス」のネオキリギリスみたいになるのかな。

この漫画は日本経済新聞の取材に基づいて予測しています。登場する人物、名称などは架空でありストーリーはフィクションです。

エピソード2へ
エピソード3へ

インターネットブログサービス「note」と共同でみなさまの「30年後あったらいいな」を募集します。30年後、こんな技術があれば幸せになっている、こんな仕組みがあれば社会はより良くなっているなど「あったらいいな」に関する投稿をnote上で募ります。詳細はnote公式サイト(https://note.mu/info/n/n17873e22e826)まで。

noteは文章やマンガ、イラストなどを自由に投稿、交流できるサイトで閲覧者は月900万人を超えます。

取材・制作
上阪欣史、久保庭華子、森田優里

ビジュアルデータ 一覧へ戻る

この記事は有料会員限定です

今なら2カ月無料で有料会員登録できます

有料会員にて表示される方は こちら を経由してご覧ください