男子 五輪フィギュア男子、 得点を分析鍵山・銀、宇野・銅 羽生メダル届かず
羽生は4位、
4回転半に挑むも転倒
北京五輪男子フィギュアスケートは10日、メダルを懸けたフリーが行われ、ネーサン・チェン(米国)がショートプログラム(SP)と合わせた合計で332.60点となり、初めての五輪王者に輝いた。鍵山優真が銀、宇野昌磨は銅で、ともに合計の自己ベストを更新した。SPで8位と出遅れた羽生結弦は、前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦。4回転半と認定されたものの回転不足となり、着氷できずに転倒した。4位とメダルには届かず、五輪3連覇はならなかった。羽生とチェンとは49.39点の差があった。メダリストらの得点を分析・比較する。
上位選手の得点(内訳)比較
鍵山・宇野、自己ベスト
チェン世界最高点に迫る
金メダルのチェンは銀の鍵山に合計得点で22.55点差を付ける完勝。SPで羽生の持っていた世界最高得点を塗り替え、フリーでも圧巻の演技を見せた。合計では自身が持つ世界最高得点(335.30点)にあと2.70点まで迫った。SPの3本目で21.21点、フリーの1本目で19.60点などジャンプで得点を積み重ねただけでなく、芸術面を評価する演技構成点でも日本勢を上回った。鍵山と宇野はSP、合計で自己ベストを更新した。
4位の羽生
「全部出し切った」
フリーに臨んだ羽生結弦(ANA)は、冒頭でクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑んだが転倒した。世界で誰も成功したことのない大技に失敗すると、続く4回転サルコーでも転倒。連続ジャンプやスピンはまとめたが、フリーは188.06点、SPと合わせた合計点は283.21点だった。フリーの演技を終えた羽生は「全部出し切った。もうちょっとだったなあと思う気持ちもあるけど、あれが僕のすべてかなと。たしかにショート(プログラム)からうまくいかないことがいっぱいあったけど、でも一生懸命がんばりました」と振り返った。
チェン、
初の五輪王者
SPで羽生の持っていた世界最高得点を塗り替え、首位に立った世界王者のネーサン・チェン(米国)がフリーでも圧巻の演技を見せ、フリー218.63点、合計332.60点で金メダルを獲得した。
銀メダルの鍵山
「自分の成長を感じる」
18歳の鍵山優真(オリエンタルバイオ・星槎)はフリーで201.93点、合計310.05点をマークして、五輪初出場で銀メダルに輝いた。試合後には「この銀メダルという結果は、自分がオリンピックを夢として頑張ってきた数年間のすべてが詰まっている。とても自分の成長を感じている。ショート(プログラム)や団体とは違って、フリーでもう試合が終わってしまうのだと考えると緊張してしまった」と話した。
銅メダルの宇野
「もっと新たな挑戦をしたい」
宇野昌磨(トヨタ自動車)は2018年平昌五輪の銀メダルに続き、2大会連続でメダルを獲得した。試合後のインタビューでは「本当にこの4年間いろいろあり、きょうの演技というのはミスがいろんなところで出てしまったんですけど、たぶん、実感はなかったが緊張していたのもあった。この構成、この練習を間違いなくあと数年続けていけば、もっともっとレベルがあがって、いまのネーサンの位置で戦える存在になることも可能なんじゃないかと思う。もっと新たな挑戦をしていきたい」と語った。
五輪3連覇はならなかった羽生だが、回転不足で転倒があったものの4回転半ジャンプとは認定された。悲願の金メダルに輝いたチェンの強さは圧巻だったが、18歳の鍵山、2大会連続メダルの宇野と、日本選手の健闘や果敢な挑戦が目立つ結果となった。