21年でいくら稼いだか
- 損益計算書 PL -
損益計算書とは
PL
=
損益計算書
Profit and Loss
Statement
1年間の収益と費用から
企業の経営成績がわかる表
PLはステップ毎に
捉えればわかる
数字の羅列のようにみえるPLですが、順番に見ていけば稼ぐ仕組みが分かります。日本の会計基準を基に、5種類ある利益がどう生まれるかを、ステップごとに見ていきましょう。
STEP.1
売上高
PLの計算はまず「売上高」(商品を売ったり、サービスを提供したりして、どのくらいの対価を得たか)からはじまります。
STEP.2
粗利益
商品を売るにはその商品自体の仕入れや材料からつくることが必要です。そのためにかかった費用を原価といいます。売り上げから原価を引いたものが粗利益(売上総利益)です。
商品そのものにかかった費用である原価だけを引いた粗利益は商品の付加価値を示すことになり、企業の競争力の源泉ともいえます。
STEP.3
営業利益
粗利益から「販売費及び一般管理費」を引いたものを「営業利益」といいます。
「販売費及び一般管理費」は人件費や賃料など物を売るのにかかった費用です。販管費とも略します。
「営業利益」は事業そのものからしっかり利益を出しているかどうか、本業での稼ぐ力を判断するための指標になります。
STEP.4
経常利益
営業利益から「営業外収益・営業外費用」を差し引いたものを「経常利益」といいます。
「営業外収益・営業外費用」は預金から得た利息や借金で支払った利息、グループ会社の損益の一部(持分法投資損益)など営業外での利益や費用です。
「経常利益」は事業でのもうけだけでなく、事業以外の「財務活動」に関する収益や費用までを考慮した利益です。会社が安定して継続的に利益を生む能力があるかを判断するための指標になります。
STEP.5
税引き前利益
経常利益から「特別損失・特別利益」を差し引きしたものを「税引き前利益」といいます。
「特別損失・特別利益」は一時的に発生した利益・損失です。株式の売却によって得た利益などや災害によって発生した被害などが含まれます。
STEP.6
当期純利益
税引き前利益から税を引いたものを「当期純利益」といいます。
税金には国に納める法人税、地方自治体に納める法人住民税、法人事業税があります。
純利益は会社の最終的なもうけを示します。PLで「親会社株主に帰属する当期純利益」と表記されるように、株主にとっても最も大事な利益です。純利益を株式数で割った1株当たり利益(EPS)は株式市場で重要視されています。
6つのステップを通して利益は分割され、それぞれの利益は会社の状態を測る指標になります。
PLを見れば
「稼ぐ力」がわかる
PLからは1年間で稼いだ額が分かるだけではありません。どの段階の利益が多いかで、どこに強みがあるかがわかります。
売上高とそれぞれの利益をくらべれば、どれぐらい効率的かもわかりますし、ライバル企業と比べて稼ぐ力が強いのか、弱いのかも判断できます。
効率的に利益をあげているか
判断できる指標
日経新聞にもよく出てくる一番簡単な指標が「利益率」です。利益を売上高で割った数字です。売上高のうちどのくらいが利益かを示すことで、効率的に稼いだかが分かります。日本の上場企業の売上高純利益率の平均は6%です。
業種によって異なる
純利益率の平均値
利益率は業種によって異なります。小売業や卸売業のように商品を仕入れて販売する業種は低くなります。製造業でも医薬品は自動車や電機に比べて利益率が高いなど特徴があります。単純に比べるだけではなく、業種による違いも頭に入れておきましょう。
PLから企業を当てよう
富士フイルムホールディングス、日本郵船、アルフレッサホールディングスの2022年4~12月期の連結売上高はいずれも2兆円強と大きな差はありません。ところが3社の売上高純利益率をみると、以下のように大きな差がでています。
医薬品卸のアルフレッサホールディングスはA・B・Cのうち、どれでしょう?
正解
Cがアルフレッサホールディングス
A=日本郵船、B=富士フイルムホールディングス、C=アルフレッサホールディングスです。売上高はほぼ変わらなくても、利益には大きな差があります。アルフレッサのような製薬メーカーから医薬品を仕入れて医療機関などに販売する卸売業は、メーカーに比べて利益率が低くなりがちです。利益率が5割近い日本郵船は、売上高には反映されず出資分だけ利益に反映される持ち分法適用会社のコンテナ船の業績が好調で、利益率が押し上げられました。
黒字・赤字とは?
利益が出ていることを黒字、損が出ていることを赤字というのは耳にしたことがあるのではないでしょうか。
黒と赤は、ヨーロッパで帳簿を付ける時にプラスの時は黒のインクで書き込み、マイナスの時は赤のインクで書き込んでいたことから来ています。だから英語でも黒字のことを be in the black、赤字のことを be in the red といいます。アメリカの11月の感謝祭の祝日の翌日をブラックフライデーと言いますが、これは感謝祭でセールをしたお店がにぎわって、すべて黒字になるというところからきています。