地方創生戦略が動き出した。東京一極集中の是正や雇用創出のカギを握るのが、地域経済を支える産業だ。都道府県別の産業競争力や「稼ぐ力」をデータから探ってみよう。
まず各都道府県民が年間どれくらいの額を稼いでいるのか、働き手1人あたりで比べてみた。石川を除く46都道府県で最新の2013年度をみると、トップ3を占めたのは千葉を筆頭とする首都圏勢。最も低い沖縄と、千葉との差は300万円を超える。
働き手1人あたりの稼ぎを10年前との増減でみると、顔ぶれは大きく変わる。10%を超える2ケタ成長をした6県は東北など地方勢が目立つ。一方で奈良は唯一の2ケタ減となっている。
産業分類別の県内総生産(GDP、物価変動の影響を除いた実質)を10年前からの増減率でみると、第1次産業(農林水産業)は青森が44%増でトップ。第2次産業(製造業や建設業)は三重が77%増、第3次産業(サービス業など)は埼玉が13%増で、それぞれ最も伸びが高い。
各都道府県の雇用を支えているのは、どんな産業なのか。全従業員に占める業種別の内訳を調べてみた。特に比率が高いのは製造業で、25%台の滋賀を筆頭に11県が2割以上を占めた。さらに製造業の内訳を細かくみると、食料品や輸送用機械、電子部品・デバイスの雇用吸収力が高い。
製造業以外では卸・小売業の雇用シェアが高く、大阪や福岡、宮城が東京を上回っている。医療・福祉は、高知をはじめ上位13県を西日本が占めた。
地域の産業活力を示す一例として、若い世代の起業状況もみてみよう。15~34歳で収入を得る仕事がある人(有業者)に占める起業者の比率が最も高いのは愛媛の3.24%。9位の熊本までを西日本が占めた。
0%
0%
0%
0%
0%
企業の収益環境は厳しく、2013年度で全国企業の71.8%が赤字だった。都道府県別にみると、そのなかでも黒字法人の比率が高いのは沖縄と東北勢。最も低い徳島(21.1%)と沖縄の差は15ポイントに達する。
いまは東京、大阪、愛知、神奈川、埼玉……の順で続く県内総生産(GDP、名目)も、時代とともに勢力図は変わってきた。統計としてさかのぼれる1874年(明治7年)は、大阪が東京を抑えて全国一。3位以下は兵庫や京都、新潟が愛知を上回っていた。この約140年にわたる推移をグラフでたどってみよう。縦の線を左右に動かすと、その年の都道府県のGDPとランキングを確認できる。
全国28道県で、県内総生産(GDP)がリーマン・ショック前(2007年度)より「成長」――。4月18日付の日経朝刊「データディスカバリー」では、各都道府県の人口と1人当たりGDPがどう変化したのかをビジュアルに描いています。