低金利が続く住宅ローン。都市部で値上がりする地価や高層マンション。伸び悩む新設住宅着工戸数。全国で増える空き家。住宅をめぐるニュースが相次ぐ中、私たちは「理想の住まい」をどう探せばよいのか。データをもとに考えてみよう。
家を買うのか、借りるのか。多くの人が立ち止まって考える大きなテーマだ。超低金利時代の軍配はどっちに上がるのか、ファイナンシャルプランナー(FP)の平野泰嗣さんに試算してもらった。
東京近郊の3LDKで子ども2人を育てる場合を想定する。持ち家の場合、30歳で家を購入、頭金は500万円を用意する。賃貸の場合は55歳で子ども2人が巣立ち、2LDKにダウンサイズする計画だ。その場合、66歳で累計支出は賃貸が持ち家を上回る。それより長生きすればするほど、賃貸は負担が重くなっていく。
FPの平野さんは「金利が非常に安いので持ち家が有利な環境にある。頭金の額による差があまりでない」と話す。ただし、今回は「同じ場所に住み続ける」という大前提で試算した。グローバル化が進む中で、いまや海外転勤は珍しくない。住み続けるとしてもリフォーム代などは別途かかる。手抜き工事の懸念もぬぐえない。試算上は持ち家が買いやすい環境ではあるが、先行きの見えない時代に決断するのはやはり難しそうだ。
国土交通省の不動産価格指数によると、2010年平均と15年末を比べた場合、マンション価格は23.7%上昇したのに対し、戸建て住宅の価格は0.2%下落している。マンションは、職住近接志向の高まりで都心部の物件を中心に人気が集まったうえ、株高局面で潤った富裕層による投資目的の購入が上昇に拍車をかけた。建築時の資材高騰や人手不足に伴う労務費上昇も響いた。戸建ては人口減の地方を中心に需要が弱まり、価格が下落基調だった。
住宅取引の中で中古住宅が占める割合は14.7%(13年)。米国(14年調査で83.1%)など海外と比べると、新築志向が強い日本の中古住宅の割合は極端に低い。だが、日本では人口減が進む中で大量の空き家が出ることが問題視されている。「良い家に長く住む」というスタイルを根づかせようと、政府も中古住宅流通の促進に乗り出している。リフォーム市場も活況だ。古い家を自分好みにアレンジして住み続けるスタイルも徐々に広がっている。
30代の持ち家率は30年で15ポイント減――。総務省の調査で各世代の持ち家率を調べると、若い世代の賃貸シフトが浮かび上がる。かつての高度経済成長期は、政府の持ち家政策のもとで住宅が大量供給され、若い世代もこぞって家を買った。アパートから出発し、やがて庭付き一戸建てのマイホームを持つ姿は「住宅すごろく」と呼ばれた。しかし、晩婚・非婚化が進む中で20〜30代の持ち家率は急減。賃金が伸び悩む中で頭金をそろえられない実態もある。
増える賃貸生活者。世界の都市と比べるとその生活はどんな具合だろうか。例えば部屋の広さ。リクルート住まい研究所の調査によると、一人暮らしの部屋の平均面積は、ニューヨークが約63平方メートル、ロンドンが約70平方メートルなのに対し、東京は半分以下の約28平方メートル。家賃が高いのはどの大都市でも同じだが「最低限、このくらいの広さは確保したい」という価値観は違うのかもしれない。
日本の中で、住む家の広さに違いはあるのか。国土交通省が都道府県別にまとめた調査によると、広さベスト3は富山、福井、山形の3県。3世代同居が多く、持ち家志向が高いといわれる県が上位にきた。一方、狭いのは東京や大阪など都市部。沖縄が下位にいるのは、賃貸の比率が高いことが影響しているようだ。
若者の財布の25%が住居費――。5月16日付の日経朝刊「データディスカバリー」は、賃金が伸び悩む中で、若い世代に「住」の負担が重くのしかかっている実情に迫りました。