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生活費・教育・日本食… 海外駐在の実像は

日本企業の海外進出を支える海外駐在員。かつては欧米勤務が多かったが、今や駐在先の6割がアジアだ(海外駐在者数の国・地域別ランキング)。赴任先の新生活は、期待とともに不安も募る。安全に暮らせるか? 生活費はどれくらい? 子どもが通う学校は? 海外駐在の実像をデータで探った。

TOPIC1 家賃1位は香港、月70万円

欧米・アジアともに家賃は上昇 2016年 米ドル

香港は東京の1.7倍
4,003ドル
5,100ドル
6,809ドル
東京
ニューヨーク
香港
香港 ニューヨーク ロンドン モスクワ 東京 上海 バンコク ハノイ

10年の変化で見ると…

64%増
4,898ドル
6,809ドル
2006年
2016年
香港
46%増
3,500ドル
5,100ドル
2006年
2016年
ニューヨーク
54%増
2,977ドル
4,583ドル
2006年
2016年
ロンドン
40%増
3,000ドル
4,200ドル
2006年
2016年
モスクワ
3%減
4,119ドル
4,003ドル
2006年
2016年
東京
64%増
2,426ドル
3,969ドル
2006年
2016年
上海
44%増
1,363ドル
1,965ドル
2006年
2016年
バンコク
2%現
2,100ドル
2,050ドル
2006年
2016年
ハノイ
  • 香港香港
  • ニューヨークニューヨーク
  • ロンドンロンドン
  • モスクワモスクワ
  • 東京東京
  • 上海上海
  • バンコクバンコク
  • ハノイハノイ

米人事コンサルティング会社マーサーは、海外駐在員の住居、交通、食料、衣料、家庭用品、娯楽など200項目以上の価格を毎年調査。多くの企業が海外駐在員の報酬の基準にしている。同社の「2016年世界生計費調査」よると、家賃はこの10年、欧米、アジアともに多くの都市で高騰している。主要8都市で比較すると最も高いのは香港で、上海も10年前のニューヨークの水準まで上昇。東京はほぼ横ばいだ。海外駐在員の家賃は通常、一定の上限を設けた上で企業から全額補助される場合が大半だ。一方、昨今の家賃の上昇を受けて引っ越すケースも生じているという。

TOPIC2 衣服が高い中国、食費が高い欧米

ジーンズ1着・ハンバーガーセットの価格

  • ニューヨーク
  • ロンドン
  • 上海
  • バンコク
  • ハノイ
  • ニューヨーク
  • ロンドン
  • 上海
  • バンコク
  • ハノイ
ジーンズ1着ジーンズ1着 ハンバーガーセットハンバーガーセット

駐在生活で日々の支出も気になるところ。日本では「ワンコイン(=500円)」ランチが定着しているが、ファストフードはやはりアジアのお得感が強そうだ。一方、衣類の一大産地である中国は買うと高く、ジーンズ1着が最も安いのが意外にもニューヨークだった。アジアでは低価格の服も売られているが、「駐在員が購入する水準の品質などを求めると高くなる」(マーサージャパン)傾向にある。

TOPIC3 暮らしやすさ、1位はウィーン 東京は44位

世界450都市の生活環境調査では

1位 ウィーン オーストリア
2位 チューリッヒ スイス
3位 オークランド ニュージーランド
44位 東京 日本

世界450都市で、政治や社会環境、衛生面、教育水準、文化施設など39項目を調べたマーサーの「2016年世界生活環境調査」で、総合ランキングではウィーン(オーストリア)が7年連続の1位になった。2位はチューリッヒ(スイス)、3位はオークランド(ニュージーランド)、4位はミュンヘン(ドイツ)、5位はバンクーバー(カナダ)。

「ハードシップ手当」がある国も 月額平均(円)

「経済情勢は先行き不透明感が増し、世界的にテロ事件や政情不安等のリスクが増大している。駐在員の安全や健康に関する評価はより複雑になっている」。こう指摘するのはマーサージャパンの給与データサービス部門長、渡辺格史氏。多くの企業は駐在員の赴任先の住環境や治安、気候風土の違いなどに応じて「ハードシップ」手当を支給している。労務行政研究所の調査(2015年)によれば、インドでは月額約12万円、ブラジルでは月額約7万円の手当が支給されている。

TOPIC4 海外で学ぶ小中学生、10年で41%増

総合職女性の転勤増も背景に

約5.5万人
約7.8万人
10年で41%増
2005年
2015年

駐在員にとって、子どもの教育環境は大事な要素だ。外務省の海外在留邦人子女数統計によると、海外で学ぶ小中学生は約7.8万人で、10年で41%増えた。総合職の女性の増加で、30~40代の女性が子連れで海外に赴任するケースも出てきており、一部の企業は現地での保育費用を補助する制度を設けている。女性の進出増に伴い、海外で育つ子どもの数はますます増えそうだ。

TOPIC5 地域で変わる日本人学校の比率

アジアは日本人学校が多数派

アジアアジア 北米北米 欧州欧州

駐在先で学ぶ方法は様々だ。日本人学校のほか、基本は現地校に通いながら週1~2回程度日本語の授業を受ける補習校、インターナショナルスクールに通う方法もある。外務省の調査で地域別に見ると、アジアでは日本人学校に通う子どもが多いのに対し、欧米は現地校に通う子どもが多い。10年前と比較すると、現地校やインターナショナルスクールに通う子どもの数は7割増えた。インターナショナルスクールは学費が相対的に高いが、英語を学ばせておきたいという親の気持ちが反映されているようだ。

TOPIC6 日本食レストラン、世界に約8.9万店

海外における日本食レストランの数

郷に入っては郷に従えというが、やはりたまには日本食が食べたくなるもの。農林水産省によると、世界の日本食レストランの数は10年弱で3.7倍に増えた。海外での日本食ブームを受け、定食チェーンやうどん店などがアジアを中心に出店している。政府は農林水産物や食品の輸出を20年までに1兆円とする目標の前倒し達成を目指している。日本食材が手に入りやすくなれば、海外での食事情はさらに充実しそうだ。

制作・データ分析:
大島有美子、板津直快、鎌田健一郎、佐藤健
ウエブ制作協力:
ノースショア株式会社
制作・データ分析:
大島有美子、板津直快、鎌田健一郎、佐藤健
ウエブ制作協力:
ノースショア株式会社

日経朝刊の誌面では・・・ 日経朝刊の誌面では・・・

海外駐在といえば欧米が定番でしたが、活躍の場は今、アジアに移りつつあります。7月18日付の日経朝刊「データディスカバリー」では、海外駐在の行き先に注目しています。

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